輸入商用車戦線に台風の目登場!?
フィアット・デュカトが正規輸入されるゾ


 実用一辺倒のバンモデルを自分でカスタマイズして趣味のベースとしたり、車中泊仕様にしたりといわゆる「自分専用」にすることが密かなブームになりつつある。もっとも以前からの車中泊ブームはあったが、コロナ禍のオコモリ需要やらテレワークやらで一気に火がついた感がある。  

 国産車だとハイエースやキャラバンを筆頭に軽バンまで各メーカーがラインナップに加えているので選択肢は比較的多いが、輸入車の実用的バンモデルというとなかなかそういかない。輸入車のこのカテゴリーでは、なんといってもルノー・カングーが代名詞的存在になっている。

写真は日本導入が噂される新型カングーの本国仕様

人気の秘密は質実剛健の商用車でありながら、後席の快適性が高いことと、ベース車(商用車)の血統で使い勝手に優れている点がよく言われている。それでいてダサい筆者のような人間から見ると同じ商用車であってもオシャレに見えてしまうのもプラスポイント。そんな日本では1強だった(と思う)ところにシトロエン・ベルランゴや

プジョー・リフター、

が参戦、魏呉蜀の三国志的ながっぷりと三つ巴の様相になっている。いずれも出自はワーキングビークルだが日本市場用に快適性を高めたモデルで、インポーターの想像以上に売れているという。そして今回そこに割って入るのがイタリアの巨人、フィアットが送り込む刺客、デュカトだ。

デュカト…、デュカト…、そうだ2017年のキャンピングカーショーに出展していたアレだ! と思い出されたアナタ、かなりな通ですぜ。そう、何を隠そうデュカトは以前から並行輸入業者が入れたり、キャンピングカーブランドが入れていたりした人気車種なのだが、今回は正規輸入なのだ。

 そうなると販売店が少ない問題も解決、保証も手厚いメーカーのソレが附帯し、ユーザーにとってはいいコトづくめになるはず。インポーター側は日本導入時には正規ディーラーで注文を受け、架装業者へ細かいオーダーをするいわゆるB-to-B(法人間取引)を想定するというし、専用の販売ネットワークを作るという力の入れようだ。

 さて。導入が予定されるモデル、現行のデュカトは2006年にデビュー。え? 2006年? ガッカリしないように。「イタリア車、使いたい時にはレンタカー」とかいうブラック川柳があったとかなかったとか。これは、せっかくの休日で愛車で出かけようか! となった時にエンジンがかからず、止むを得ずレンタカーで出かける、というあるイタ車乗りのヒキコモゴモを謳ったブラックジョークだが、そんなトラブルは過去の話。そもそも商用モデルは丈夫だし、故障が許されない。そんなクルマだから発売から時間が経っていれば、それだけメーカー側のトラブルシューティングも済んでいる。必要なのはユーザーの油脂類の管理といった消耗品をいかに気にかけるか、だと思う。

 そんな2006年登場のデュカトだが少しずつアップデートされ、昨年にはビッグマイナーチェンジが施された。ヘッドライトのLED化やメーターの液晶フルデジタル化、スマートキーや電動パーキングブレーキの採用、車間確保しながら定速走行できるクルーズコントロールといった必要なモノ以外は不要、という印象の商用車からすれば豪華な装備が与えられている。

一昨年にはATの9速化が図られ燃費や走行性能をアップ、つまりは乗用車並の装備に。

 導入予定モデルは3種類。標準ボディのL2H2、ロングホイールベース仕様のL3H2、ロングホイールベースのハイルーフバージョンL3H3。ホイールベースが大きくなったり、天井が高くなったりすると、車名の数字が一つ大きくなると覚えておけば間違いない。ボディサイズは欧州仕様で日本導入モデルとは異なると思うが、下記の通り。

●標準モデルのL2H2

全長×全幅×全高:5413×2050×2524(mm) ホイールベース3450mm

●ロングホイールベースのL3H2

全長×全幅×全高:5998×2050×2524(mm) ホイールベース4035mm

●ハイルーフモデルL3H3の全高は2764mmに。

余談だが、ロングホイールベース仕様のホイールベース、現行アクアの全長(4050mm)と近いのだ。素直にデカイ! 

 これらのモデルはレジャー用レイアウト仕様、ウォークスルーレイアウト仕様の2つに対応する予定というので、職人さんから移動販売の開業を考えるユーザーなら今のうちにオーダーした方がいいっすよ。やはり最初は目立つし。

 さて。注目は前席のシートだ。運転席と助手席にはアームレスト付きのキャプテンシートが採用され、シートが180度回転する仕掛けもある。

加えて完全に回転して固定すればシートの前後スライド機能も使える。昔の国産1BOXのセカンドシートみたいだが、デュカトは前席がそうなるのだ。すると当然キャンピングカーベースとしても人気になる(前出)。実際デュカト、海外ではそういった使い方も多い。

搭載されるエンジンはトルクに利のあるディーゼルユニットで、最新の欧州の排ガス規制をクリアしたマルチジェット3。そのスペックは最高出力180PS、最大トルク450Nmを発生する。日本へもこのユニットが入ってくる予定という。架装して重量が増えるキャンピングカーにはこの450Nmのトルクは魅力。しかし。一つ注意をしたいところがある。それは2017年3月12日以降に新たに免許を取得した場合だ。キャンピングカー仕様にして車重が3.5tを超えてしまったら準中型免許が必要になってしまう。もちろん何もない方が「らしい」からそのままで、配送に使う! とか日本人は畳に布団だから

広い後部スペースは畳をひいて布団で寝てインスタントラーメンでキャンプ! という和中泊ユーザーにとっては500万円以下のプライスは魅力のはず。もちろんワーケーションベースにも広い室内は嬉しい。何れにしても今後が楽しみなクルマだ。

デュカト


価格:469万円から(予定)

フィアット https://www.fiat-auto.co.jp/
問 チャオ・フィアット 0120-404-053

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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