車中泊もできる!
オトナの秘密基地シトロエン BERLINGO with アグレ・ベッドキット 本気レビュー!


 コロナ禍という背景もあり、やれワーケーションだとか、密を避けるベストな移動手段である、とかいわれ、巷では車中泊に熱い視線が向けられている。もっとも車中泊はコロナ禍の少し前から盛り上がりを見せていたというツッコミはご容赦。クルマで寝る、となるとキャンピングカーが一番快適そうだ。なんせ家とほぼ同じ装備があるのだからして。しかーし。キャンピングカーで都内のスーパーの駐車場に行くのは厳しい。下手をすると駐車枠をはみ出すこともある。それに複数台クルマを持つなんて贅沢もできない! ならクルマ1台ですべてをこなせるのがベスト。しかも寝ない時はキチンと乗車定員乗れて、荷物を載せられるクルマ。それでいて1台ですべてをこなす、つまり普段も乗って楽しいとかワクワクできるようなモデルがいい。それならばシトロエン・ベルランゴはいかがだろうか。なんと車中泊用のベッドキットがディーラーオプションで用意されているのだ! しかも取り付けは無加工なうえ、使わない時は荷棚として使えるスグレモノ。深夜の通販なら歓声とともに拍手が起こる場面である。そのキット名はagreベッドキットという。加えてこのキットのすごいところは22通りのカラーバリエーションを持ち、ベルランゴのボディカラーやオーナーのカスタマイズに合わせて選べるのだ。今回そのキットを試せるチャンスをゲットしたのでご報告。

 ベットキットが装着できるのはベルランゴ。ここでベルランゴについて少々の説明を。今販売しているのはベルランゴとしては3代目に当たるモデルで2018年にデビューした。日本のおフレンチの自動車ではこのカテゴリー(ワーキングビークル系なMPV)は、カングーの人気が絶大だがそこに新たな風を運んだことになる。クルマのベースというか、プラットフォームはプジョー508やシトロエンC5エアクロスと同じモノ。試乗車はSHINEをベースにしたSHINE XTR PACK。

クルマの随所にマットオレンジのアクセントカラーを配し17インチのアロイホイールを履いた特別モデル。ジツはベルランゴ、全幅と全高がほぼ同じサイズ。そういえば、イタリアのミントの香りをつけたカラフルな四角形の飴もベルランゴだった。閑話休題。

 コクピットはシトロエンにしては(失礼)ごくフツーのデザインだが、ダッシュボードまわりは収納が豊富で、この辺りは素性が商用モデルといったところかもしれない。使い勝手がいいので素直に歓迎したいところだが、メーターナセル上の収納のフタは開いたままに固定できず、罠のように上から閉じるので注意が必要だ。

実際、学習能力のない筆者は2回ほどベルランゴにがぶりと食べられた。助手席側の収納、グローブボックスは広く大きく開いた状態でも固定できる万能ぶり。おまけにトランクのベルトをイメージさせるベルトのアクセントがこれまたオシャレすぎ。

このあたりはさすがシトロエンでトレビヤーン。シートは前後ともにグレーとベージュをベースにオレンジの帯をアクセントにしたモノ。助手席は前方可倒式採用で長尺物もらくらく積載できる。リアシートは3座独立の可倒式。またそれぞれにリクライニング機構も備わる。

試乗車にはリアサイドガラスに格納式のブラインドも装着されるし、ピクニックテーブルもあり、これが結構便利だった。

広い室内で特徴的な装備はジツは頭上にある。太陽光は天然のシャンデリア状態のガラスサンルーフ(直射日光を遮られる電動シェード付)は開放感を高めているし、その下にある新幹線の荷棚状のブリッヂは天井収納になっている。

リアゲートのガラスハッチは単独で開閉可能。コレを開いてすぐの天井吊り下げ式の収納(シーリングボックス)は荷室側からも車内側からもアクセスしやすい。また荷室側と車内側ではアプローチが異なるデザインを採用。

室内側
リアハッチ側

 走り出すと乗り心地はフワフワとしたシトロエンらしいモノ。そのフワフワ感がなかなかに絶妙で柔らかすぎず硬すぎず。サイズや車両上方にガラス部分が多いクルマは重心が高くてフラフラするような印象を受けるが、くねった道の安定感にはびっくり。搭載されるエンジンはエンジンは1.5リッターの直4ディーゼルターボ。

スペックは130PS、300Nmでよほどのことがない限り力不足を感じることもなかった。8ATを駆使して山道を走ると接地感のスゴさが印象に残る。これだけの図体なのに。

 さて。いよいよ車中泊だ。使い方は簡単。まず後席を倒す。

続いて取り付けられているレールを引き出す。

その上にベッドマットを置く。

たったこれだけ。前席を調整しておけば身長175cmの筆者が横になってもどこに使えることなく就寝可能だった。

すごい! すごいぞ! 簡単なうえ本格的なベッドなのだ。大人2人は楽に休める。このagreベッドキットは22万9900円から。ベルランゴのエントリーモデルは325万円からなので本格的なキャンピングカーを買うよりもずっとお買い得だし、レーンキープアシストやACCと言った先進の運転支援システムや電動パーキングブレーキといった装備も充実。そして何よりベッドを使わなければ棚として使える万能ぶり。

こうなるとクルマというよりも趣味のベース基地。子供の頃に秘密基地に憧れたアナタ! 夢をもう一度かも。

ベルランゴ SHINE XTR PACK

全長×全幅×全高4405×1850×1850(mm)
エンジン1498cc直4ディーゼルターボ
最高出力130ps/3750rpm
最大トルク300Nm/1750rpm
WLTCモード燃費18.0km/L
価格362万9000円から

シトロエン https://www.citroen.jp/
問 シトロエンコール 0120-55-4106

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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