これは書く宝石! モンブランの2億円超の文房具!

2億円超(!)の超・超・超・高級万年筆をモンブランが発表。そのニュースを目にして、思わず、ため息が漏れてしまった。庶民にとって生涯年収に匹敵するプライスタグを掲げることはもちろんだが、アートか宝飾のような万年筆そのものの仕上がりもまた、ハッと息を呑む要因である。

モンブランといえば、最近は機械式時計や革製品までラインナップを広げているが、なんといっても、1906年にハンブルクで創業された老舗の筆記具ブランドである。1924年に産声を上げた旗艦モデルのモンブラン「マイスターシュテュック」は、著名な作家、王侯貴族、国家指導者といった人々に愛好家がいることで知られている。

そして今回、発表されたのは「ハイ アーティストリー エディション」なるハイエンド中のハイエンドで、métiers d’art(=メティエダール「希少な職人技」の意)の高い芸術性を駆使して制作される筆記具コレクションであり、”筆記具のアート”と称される。2018年にこのシリーズが初めて発表されたときは、ホワイトゴールドに約13カラットものダイヤモンドをふんだんにあしらった世界限定1本のゴージャスな万年筆として話題をさらった。最新先として発表されたモンブラン「ハイアーティストリー 万里の長城」は、その名の通り、世界の8大不思議に数えあげられる万里の長城からインスピレーションを得たリミテッドエディションだ。5種がラインナップされており、価格は285万3000円〜195万ユーロとなる。

「リミテッドエディション1 インペリアル(時価:195万ユーロ)」

最もハイエンドかつ世界限定1本という希少中の希少となる「リミテッドエディション1 インペリアル」では、万里長城の壮大な景色を万年筆の上に投影しようと試みている。ソリッドゴールドのキャップに刻まれたドラゴンを彩るのは、サファイア、ルビー、トルマリン、ダイヤモンドと、目の眩むような貴石である。さらに、王室の楽器へのオマージュとして、ブルーサファイアのパヴェで装飾された尻軸内にミニチュアオルゴールも仕込まれている。装飾も見事で、4.69カラットもの大粒ダイヤモンドを支えるドラゴンの爪がキャップトップ刻まれており、中国の伝統的な守護神であるライオンがイエローゴールドのクリップに手彫りされる、という念の入れようだ。

「リミテッドエディション5 インペリアル(時価:55万ユーロ)」では明王朝の美学と職人技、

「リミテッドエディション10(時価:20万ユーロ)」ではシルクロードを拡張した漢王朝のシルク刺繡の技術、

「リミテッドエディション88(時価:5万ユーロ)」では秦の始皇帝をイメージさせる象嵌細工、

「マイスターシュテュック スケルトン リミテッドエディション333(価格:285万3000円)」では皇帝を守るドラゴンを象徴するスケルトンオーバーレイが、それぞれ施されている。

シリーズを通して、何世代にも渡って築き上げられてきた万里の長城が紡ぎ出す中国の悠久の歴史に思いを馳せることができるワケだ。

正直なところ、ただ「書く」という目的だけなら数百円どころか、数十円でも事足りる。しかしながら、金細工、手彫り、ラッカー塗装、エナメル、刺繡、貴石のセッティング、金属のスケルトン彫刻…といった伝統的な職人の技を現代的に蘇らせた逸品を手にしたなら、単なる「書く」ための道具ではなく、執筆という創作行為へのオマージュとしての筆記具を見てみるのもまた一興だ。

■商品概要
モンブラン: ハイアーティストリー 万里の長城
価格:285万3000円(本体価格)〜195万ユーロ(時価)

ホームページ:https://www.montblanc.com/ja-jp

  • ジャーナリスト(自動車および環境)、戦略イノベーション・スペシャリスト、工学修士。住友電気工業にて、デザイン・エンジニアとして研究・開発に携わる。二玄社にて、自動車雑誌『NAVI』の編集記者に。その後、『カーグラフィック』編集部に転属。ローランド・ベルガーにて、イノベーション・ダイレクターに就任。ジャーナリストと兼業しつつ、グローバルにおける最新テクノロジーの知見を礎にモビリティ以外の分野も含め、幅広い分野でイノベーション推進に取り組む(現アドバイザー)。ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー/グリーンカー・エキスパート。インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考員-FCCJ(日本外国特派員協会)レギュラーメンバー。内閣府・構成員、環境省有識者委員、国土交通省独法評価委員会委員なども歴任。