航空自衛隊、F-35Aステルス時代へ

航空自衛隊、F-35Aステルス時代へ
第301飛行隊新編記念式典で展示されたF-35A。保全上の理由から機体各部のアップ写真はもとより、飛行隊長以外の隊員の官姓名や顔写真の公表も許されなかった(提供:第3航空団。『航空ファン』2021年3月号から)。

 2020年12月15日、航空自衛隊の次世代を担う新型防空戦闘機として配備の進むロッキード・マーチンF-35AライトニングIIの2番目の飛行隊、第301飛行隊の新編記念式典が今後のベースとなる青森県三沢基地で挙行された。式典では親部隊である第3航空団兼三沢基地司令の久保田隆裕空将補から飛行隊長の井田好彦2等空佐に隊旗が手渡され、それを多くの所属隊員や基地関係者らが見守ったが、彼らの後方には配備間もない真新しい2機のF-35Aが前身部隊から引き継いだ伝統の「カエルマーク」を尾翼に描いた姿で並び、来たるべき空自新時代を象徴するシーンでのスタートとなった。

 2020年末現在、空自に引き渡されたF-35Aは計22機で、全機が第3航空団隷下の2個飛行隊に配備されているが(1機は事故損耗)、このうち2016年8月24日に初飛行した1号機と、これに続く4号機までは米テキサス州フォートワースのロッキード・マーチン社工場の製造で、5号機以降の18機が愛知県の三菱重工FACO(最終組立およびチェック施設)で組立てた機体。完成後もアメリカに留め置かれた1~4号機と、米側チェックを受けるため完成後に渡米した三菱製5号機の計5機は、当初は米アリゾナ州ルーク空軍基地で米空軍の支援の下、空自パイロットや整備員の訓練に使われたが、2018年5月28日に三沢基地に到着し国内訓練が本格化した。なお、空自初のF-35A飛行隊として計画の基礎固めを担当したのは同じく三沢基地第3航空団隷下の第302飛行隊で、こちらは2017年12月1日に編成された臨時F-35A飛行隊を経て、翌18年3月26日に制式発足した。同隊も前身部隊から伝統の「オジロワシ(尾白鷲)マーク」を引き継いでいる。

 F-35Aの導入計画は、当初は42機の調達で老朽化したマクダネル・ダグラスF-4EJ改ファントムIIの2個飛行隊(上記の第301、302飛行隊)を代替する予定だったが、2018年12月18日の国家安全保障会議および閣議で決定した「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱」および「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)」において、これを105機追加して147機とし、さらにうち42機については短距離離陸・垂直着陸型(後にF-35Bに決定)に替えることも可能とした。この42機については、海上自衛隊の新型護衛艦「いずも」「かが」の甲板を改修のうえ臨時展開させる事実上の“空母運用”を想定しており、とくに中国空海軍の動きの目立つ南西方面島嶼部の防空や、太平洋へ活動範囲を広げる中国空母への対処などを目的とするためという見方が有力だ。

 JSF(ジョイント・ストライク・ファイター)計画の名で開発の進められたF-35は、本家のアメリカを含めた9ヵ国の国際パートナーおよび2ヵ国の準パートナーによる共同開発機で、日本はここに参加していないが、147機の調達が実現すれば(しかもA/B両型を保有する)世界有数のF-35大国となる。また三菱重工小牧南工場では、秘匿度の高い同機の機体整備が可能なリージョナル・デポもすでに稼働状態にあり、米政府が定めたアジア太平洋地域におけるF-35の整備拠点ともなっているほか、搭載するプラット&ホイットニーF135エンジンについても日本国内にリージョナル・デポを整備する計画という。次代への備えは、空自戦闘機のステルス化を見る限り隙のない状況にあると言えそうだ。

  • 1980年9月、(株)文林堂入社。『航空ファン』『世界の傑作機』『航空ファン・イラストレイテッド』など航空雑誌の編集に携わり、1988年6月から『航空ファン』編集長、2018年6月から取締役編集長。1957年、長野県生まれ。
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