今もオトコありけり
シトロエンC3 SHINE


 在原業平(ありわらのなりひら)は平安時代の貴族である。いきなり歴史の勉強かい! とツッコまれそうだがここに登場するシトロエンC3もそうだと筆者は思う。在原業平といえば歌人として有名で詠んだ歌は古今和歌集などにも収録されるほどで六歌仙の1人としても数えられている。そして大変なモテ男くんだったという。なんでも容姿端麗の美男子っぷりは平安時代編纂の歴史書「日本三代実録」にも体貌閑麗(たいぼうかんれい)と表現される。平安時代、モテるには家柄と歌のうまさが必須だったが在原業平は両方持っていたのだ。有名な「伊勢物語」の主人公ともいわれている。

 そこで現在のクルマ界である在原業平であるシトロエンC3だ。

このクルマがイケメンであることに万人が即座にうなずくことはないと思う。どちらかといえば変わったデザインのクルマだなぁと入口があってそこから見慣れるに従って個性とはこーゆーモノよ、とか言いながらもイケメンであることに気づく。つまり、平安時代のイケメンが突然来ても戸惑うのだけれど、やっぱり個性的でカッコイイやんになる感じだろうか。現行型C3のデビューは2016年。今年のアタマにマイナーチェンジ。基本デザインこそ変わってないけれど、LEDヘッドライトが標準化になっている。

そしてエクステリア最大の見せ場でもあるエアバンプ!

これも従来の7つの島から3つへと一つ一つがワイドな形状に変更されている。撮影車両はC3シャイン。スプリングブルーのボディカラーでシャインに設定されるボディと屋根の色を変えられるバイトーンルーフが決まりすぎるくらいに似合っている。車内に入るとシンプルなデザインのインパネだが、

エアコンの吹き出し口もボディサイドのエアバンプ風になっているなど小技を効かせている。

インテリアトリムはシックな<スタンダード>とエメラルドのアクセントカラーを持つ<エメラルド>の2種用意され、試乗車には後者のエメラルドインテリア仕様に。シートにも同様な帯がつく。

試乗車はボディカラーと内装のアクセントカラーが統一されているような組み合わせになっていてこれがまたオシャレなのだ。加えて助手席側のインパネには黒いテップレザーがアクセントとしてあしらわれる。

さすがシンプルとシックの使い分けが上手い国だ、と思ってしまうポイントだ。シートに座り込むと高級ではないけれど趣味のいいソファといった感じのシートはさすがシトロエン。ちなみにこのシートは今年初めのマイナーチェンジで生地裏のフォームの厚みをSHINEは2mmからなんと7倍以上の15mmへアップされたアドバンストコンフォートシートなのだ。シトロエンも廉価モデルが絶対的に「らしい」とマニアは言うけれどこのシートは今のところシャイン専用。この座り心地は確実に癒されるのは間違いない。

 C3に搭載されたパワートレインは1.2リッターのガソリンターボ。

110PSの最高出力と205Nmの最大トルクを誇り、アイシン製の6ATと組み合わされる。走り出せば想像以上に元気に走る。1.2リッターという数字の響きから感じ取られるアンダーパワーでは決してない。何よりも乗りご心地がやはりフラ車でトレビア〜ンなのだ。最近はコンパクトカーでもドイツ車的ななかなかな高速向けの味付けだけれども、C3は違う。高速を走れば波をいなす船のようだし、街中では柔らかいサスが段差をうまくいなす。このフトコロの深さが魅力。それでいてほぼすべての先進安全運転支援システムは標準装備ときている。在原業平は単なるやさ男でない、ってことだ。見た目よし、家柄よし(シトロエンの創業は1919年)の現代のモテ男、237万3000円から購入可能。

シトロエンC3 SHINE

全長×全幅×全高3995×1750×1495(mm)
エンジン1199cc直3ターボ
最高出力110PS/5500rpm
最大トルク205Nm/1750rpm
WLTCモード燃費17.2km/L
価格260万1000円

シトロエン https://www.citroen.jp/
問 シトロエンコール 0120-55-4106

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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