超・宅配社会の小さな一歩
  「京の再配達を減らそうプロジェクト」取材記

写真・文/モノ・マガジン編集部  
 
「京の再配達を減らそうプロジェクト」取材記
記者会見にて。右から門川大作京都市長。パナソニック株式会社エコソリューションズ社ハウジングシステム事業部外廻りシステムビジネスユニット髙松郁夫・ビジネスユニット長。京都産業大学の大城光正学長。



申し訳ない……。

 帰宅しドアを開いて一言。 「今日もやってしまった……」というひと、少なくないはず。そう、宅配の不在連絡票を見てである。



 昔ながらの通信販売に加え爆発的に増加普及しているネットショッピングやC2Cのオークション取引などにより、荷物が秒速で移動している。購入サービスのほうは要はデータの移動だから、より効率的になっているが、現物の移動はそうはいかない。加えて厄介なのが、届けたところで受取人が不在=再配達が常態化していることである。

 モノ編集部員である当方も、かなり初期からのネットオークションユーザーゆえ、宅配のお世話には相当なってきた。重くないものなら会社で受け取るようにしているのであまり再配達はないのだけど、たとえばアマゾンのサービスのひとつ「定期オトク便」だと、日時指定ができない。事前に「だいたい〇〇日ごろ届けまっせ」と知らせられるだけだ。だからだいたいこれは再配達によっている。定期オトク便で買うのは重量のあるモノなのでまいど「申し訳ない」ともどかしく感じている。

なぜ京都か?

北区上賀茂に大きなキャンパスを構える京都産業大学の秋。


 11月8日、古式ゆかしい京都市役所において、京都市、パナソニック、京都産業大学の3者が連携し、再配達の削減を目指すプロジェクトの発表会が行われた。昨年、日本一共働き世帯の多い県=福井県のあわら市において「宅配ボックス」を設置し再配達率の削減(49%→8%!)を達成したパナソニックが、更なる実証実験の機会として、また京都産業大学は学生たちの社会問題への参加・協力の機会としてプロジェクトに加わった。

1927年竣工という京都市役所。現在は改修工事中につき、写真は昨年秋の「京都国際映画祭」開催時のものを使用。


 ところで京都市は市内に39もの大学・短期大学を要する日本一学生が集中する町だ。総学生数はおよそ15万人。京都市人口の実に10%にあたる大勢力となる。伝統の京都は、若さ満ちる町でもあったのだ。

 彼らの多くは2000年前後の生まれで、スマホとネットショッピングが当たり前である。しかも京都はとりわけ外国人観光客も多く、学生たちはアルバイトなどを通じてその異文化交流を、これまた当たり前におこなっている。その学生たちが、便利な宅配サービスやドライバーに配慮する気持ちと同時に、宅配ボックスを活用するスタイルをもてば、もしかして世界へもこの当たり前が広がっていくかも知れない……。モノ編集部は昨年のあわら市の実証実験も取材したが、一軒家中心のあわら市とは違う意味で、今回の京都における学生たちによる実証実験は未来につながるナニカだった実感を得た。

 京都は京都議定書により地球温暖化宣言がなった町である。門川大作市長は言う。「近江商人の言葉で“三方よし”とあります。今回は“ユーザー、宅配業者、CO2削減の三方よし”に“未来よし”を加え四方よしと呼べるプロジェクトだ」と。

パナソニックの宅配ボックス
こちらが京産大学生が住むアパートに設置されたパナソニックの宅配ボックス。1箱を6人で供用する。


赤窓「使用中」と号室の赤丸で着荷を知らせる。


荷物を収めたら、伝票に(一度だけ押せる)受け取り印をスタンプして配達完了だ。


京産大の学生さんと佐川急便さん。「授業、部活、バイトで家には夜か朝しか居らず、不在通知をためてしまうこともしばしば」と学生さん。「宅配ボックスでだいぶ助かります」。佐川急便さんも「学生さんは3回に1回は不在という印象。北区はひとりのドライバーの受け持ち地域が広いため、再配達が減ることによる効率化に期待しています」。なお今回の実証実験の協力宅配業者は佐川急便、ヤマト運輸、日本郵便の3社だが、それ以外の業者でも宅配ボックスの利用は可能だ。


 昨日・今日ではなく、パナソニックではなんと25年も前から戸建て用宅配ボックス(当時は宅配ポスト=郵便ポスト兼用)を展開してきた。以来15年ほどは泣かず飛ばずだったが、ネットショッピング拡大に伴って増加中だ。今回学生アパートに取り付けた「コンボ・メゾン」の特長は、電気不使用であることだ。荷物が入っているお知らせは赤表示される。暗証番号を押して取り出す手順だ。宅配業者は1回だけ押せるボタンで受け取り伝票に押印して配達完了となる。「箱が小さい」や「やはり生鮮食料品も受け取りたい」など欲張りな声もでたが、それらは今後の課題だろう。

 また京都産業大学には学内図書館前に全19個の宅配ボックスが設置された。

左は電気式宅配ボックス。全19個。サイズはS、M、Lの3種。右は学生に募集を呼びかける告知板。先着50名だゾ! モノ編集部がこの取材の晩に泊まった宿のアルバイトさんがちょうど京産大の生徒さんだったので聞いてみたが、気づいていなかった。「図書館の前にできたコインロッカーみたいな……」と言ったら、「あれがそうですか。イラスト描いてあったりして、よくわからないんですよね・笑」と言っておられたぞ。学校はもうちょっと、学生に対するピーアールをする必要がある。


宅配業者は、荷物番号、登録者番号などを入力してロッカーに荷物を収める。


学生はパスワードなど入力し荷物を受け取る。京産大では学生課での宅配受付もしているが、窓口が定時に閉まるため使い勝手に制限があった。宅配ボックスなら利便性も高まろう。


 こちらは電気式。希望する学生およそ50人をめどに実験を行うという。実験は来年(平成30年)1月末までの予定で、結果発表は同3月の予定だ。

 伝統の京都で世界人たちと接する京都の学生たちから、より賢い宅配利用スタイル「四方よし」の広まることが期待される。

パナソニックサイトのプレスリリース・・・京の再配達を減らそうプロジェクト



カテゴリー: moweb番外編 | 投稿日: 2017年11月17日 | 投稿者: moweb