テクニクスのターンテーブルSL-1200Gとコーヒーサービス「The Roast」の奇跡のペアリング
レコード聴きながら、コーヒー淹れたら いつもより濃密になるかも知れない件
文/モノマガ男  
 


テクニクス ダイレクトドライブターンテーブルシステム
SL-1200G

価格35万6400円(税込)
http://jp.technics.com/products/1200g/

本体サイズ:幅453×高さ173×奥行372㎜
重さ:約18㎏
回転数:33 1/3r/min 45r/min 78r/min

パナソニック コーヒーサービス
「The Roast(ザ・ロースト)」

スマートコーヒー焙煎機 価格10万8000円(税込)
生豆パック(1種200g入)
生豆パック3種セット価格 5940円/月(税込)
生豆パック2種セット価格 4104円/月(税込)
※焙煎機本体と専用生豆の定期頒布のセット販売のみ
(サービス開始2017年4月上旬予定)
http://panasonic.jp/roast/
パナソニックセンター東京、パナソニックセンター大阪にて常設展示中

※The Roast 予約宣言プレゼントキャンペーン実施中!
専用応募フォームから2017年3月末までに予約宣言をして、2017年4月末までにThe Roastを購入すると、焙煎豆の保存に便利な「The Roastオリジナルロゴ入りキャニスター(KINTO社製)」がもれなくもらえる。 詳しくは http://panasonic.jp/roast/yoyaku.html


こだわる、味わう、挑戦する……。
アナログとコーヒーはとても似ている

 最初に断言してしまうと、オーディオ好きはコーヒーや、それ以前に喫茶が好きだ。いや、そのはずだ。一例を上げれば、東京でレコード屋、オーディオ屋が集まる神田神保町や下北沢、吉祥寺には、もれなくウマいコーヒー屋、名喫茶店がある。きっとみなさんのお住まいの地域でも、「そういえば、レコード屋といい喫茶店って近くにあるよな」と同意されることと思う。そう、「音」や「味」を存分に楽しむホビーという点で、両者は実はとてもよく似ている。そういえば、レコードもコーヒーも見た目は黒だ……(笑)

 そんなわけで、前回の「SL-1200G」のモノマガウェブ記事に続いての今回だが、パナソニックがなんとコーヒー屋さんになってしまうかも知れない、画期的なサービスが登場したので、その「The Roast」ともども、レコードとコーヒーの相思相愛について検討してみたいと考えている。

 さてそこでレコードとコーヒーのマリアージュといきたいところなのだが、その前に、昨年春に300台限定で登場したSL-1200GAEと今回の主役SL-1200Gの相違を確認しておこうか。

 両機の相違はかなり細かな部分である。列記すれば、トーンアームの仕上げ、インシュレーターのハウジング色、同内部素材の変更といった点にとどまり、ターンテーブルとしての実力は互角と言っていい。

左手前の操作ボタン類はSL-1200歴代の配置を踏襲。

左手前の操作ボタン類はSL-1200歴代の配置を踏襲。
左手前の操作ボタン類はSL-1200歴代の配置を踏襲。
33 1/3回転と45回転のボタンを同時に押すと78回転となる。

手前右側のブランドロゴは、テイスティな凹掘り仕上げである。
手前右側のブランドロゴは、テイスティな凹掘り仕上げである。

 カートリッジレスということで、今回はモノマガ男手持ちのVMカートリッジ「オーディオテクニカAT-120a」を装着して試聴した。高級品ではないが、ブラックとゴールドの外観がリッチ。サウンドの輪郭は細目で精密、正三角形のピラミッドバランスというよりはやや鋭角気味で、サウンドをシャープに結ぶ。エネルギッシュなサウンドとなる、といってもいいだろうか。


今回聴いたのは最近ハマっている、ちょっとヘンなレコードだ。

佐渡民謡の思い出を(7インチ)
 これはずっと以前に中古盤屋を掘っている時に買ったもので、ジャケの麗しさで選んだ。中面では佐渡おけさのステップの踏み方がレクチャーしてあり、録音はA面が「佐渡おけさ」、B面が「両津甚句」と佐渡尽くし。それもそのはずこのシングルは新潟交通が観光客に配布した非売品で、体裁はクリアレッドのソノシート。音質もそれなりと思いきや、もともとが人の声中心の録音のため思いのほか悪くない、というか生っぽくてちょっとゾクっとしてしまった。
SL-1200Gみたいな30万円オーバーのターンテーブルで聴くのは申し訳ない気もするが、でも18㎏という自重、振動を巧みに吸収するインシュレーターを備えたSL-1200Gだからなしえた、音の奥行=立体感であり、ライブ感なのである!

佐渡民謡の思い出を(7インチ)

次はバンドサウンドを。

紫/インパクト(1976)
 モノマガ世代にはツーカーだと思うが、英国ディープパープルにモロ影響を受けた沖縄のハードロックバンド、その名も紫! これはセカンドアルバムで、音の前に言っちゃうと、ジャケットのおよそ半分を占める太すぎる帯がまさしく凄い「インパクト」(笑)! パープルフォロワーには違いないのだが、曲がかなりイイのが紫の特長で、とりわけ自身のルーツである沖縄民謡をハードロックに取り込むという、本家ディープパープルでは絶対不可能な挑戦をしているのも聴きどころ。これは5曲目の……じゃなくて、B面1曲目の「Mother Natures Plights」で、Plightsとは「鼓動」。歌詞を読むと人間の自然破壊に対する警鐘的であり、これはおそらく、前年に開催された沖縄海洋博がらみの沖縄本島、とりわけ名護地区の開発に対するメンバーのメッセージだったのではと察せられる。サウンドは当時の日本録音らしい中粋重視(つまり歌謡曲ぽい)のナローなもので、ハードロックにはちょっと軽めだが、そのナローさを的確に拾うSL-1200Gのトレース能力によって、逆に不気味さや抑圧された音魂を感じさせるといったら、好意的過ぎようか?

紫/インパクト(1976)

バーボンレーベルからの発売。1976年。前回のSL-1200G紹介記事でも取り上げていたことに、気づいた。どうやら私はこの盤が好きらしい(笑)


アナログタイムにコーヒーをトッピングしてみる。

 さてここらで、のどが渇いてきた。安らぎが欲しい。コンビニに行ってビールを……じゃなくて!
コーヒーを淹れようじゃないか……しかも生豆から焙煎してさ!

 こんなモノにこだわるモノマガ人に最適な製品、というかサービスというか、そういうのがパナソニックから登場したのがIoTのイマドキとっても面白いところだ。

 サービス名は「The Roast(ザ・ロースト)」
 モノとしてはコーヒー焙煎機であり、全体としてはコーヒー生豆の定期配送・焙煎プロファイルも含めたライフスタイルパッケージである。パナソニックとしてはめずらしい取り組みといえよう。

 ほとんどの操作はスマホの専用アプリからとなり、生豆のQRコードを読み取れば、最適な焙煎が実行される。この焙煎プロファイルを作り上げたのが2013年「World Coffee Roasting Championship」に優勝、現在のところ日本人で唯一となる世界一の焙煎師=福岡の「豆香洞コーヒー」の後藤直紀さんだ。後藤さんは言う。

「今回の焙煎デザインでもっとも心を配ったことは、それぞれのプロファイルの差異を明瞭にわかっていただける内容にすることでした。豆を変えた、焙煎の深さを変えた、そうしたら味がこう変わった、ということを実感いただきたいのです。」

The Roastが編集部に届いたまさにその日に、開封して、デスクにセット

 というわけで「さっそく焼いてみようじゃん!」と、思い立ち、The Roastが編集部に届いたまさにその日に、開封して、デスクにセットしてしまった、待つことを知らない世代のモノマガ男である。

 本体はアルミダイキャストでずっしり重く、非常に質感がよい。放熱性も高いと想像する。
 使い方は極めて簡単だ。

① 本体と専用アプリをDLしたスマホをペアリング。生豆のQRコードを読み、画面をタップしながら進む。


ニュースページ

生豆と、プロファイル選択ページ。ここでローストの深さを選ぶのだ。


② あとはスマホの指示通りにやるだけ、といたって簡単。1回に約50gの生豆のローストができ、予熱から冷却までの時間はおよそ15分である。


投入後1,2分の生豆

投入後6,7分の生豆。

完了間近の生豆。今回はダークローストなので、色は濃い目、男のブラックと行きたい。

焙煎し終えた豆を一晩寝かせ、翌朝挽いて、淹れてみた

で、焙煎し終えた豆を一晩寝かせ、翌朝挽いて、淹れてみた。
使ったアイテムは、ドリッパーはcoresのゴールドフィルターソロドリップ、ケトルは英国のSIMPLEXだ。SIMPLEXは笛吹ケトルの元祖として知られる名品で、モノマガ男のささやかな自慢品である。

おともは「鮭のかわあげ」

おともは「鮭のかわあげ」。先頃出張した北海道の特産品だ。コーヒーに合うとは思えないが、取り急ぎ、これしか家になかったので、仕方ない。

 BGMはどうしようかと思ったが、ここは奇をてらわずに、聞きなれたモノを選ぶことにした。

アメリカンプログレッシブロックの代表選手、KANSASに比肩するSTYXの大ヒット作。「パラダイスシアター」だ。

 アメリカンプログレッシブロックの代表選手、KANSASに比肩するSTYXの大ヒット作。「パラダイスシアター」だ。1980年というディスコ~パンク~テクノNW全盛期のリリース。メンバーが幼少を過ごしたボストンに実在した劇場の栄枯盛衰を全11曲で表現したコンセプトアルバムで、それ自体はプログレ手法だが、個々の曲はキャッチーでポップで、彼らはプログレバンド範疇とはいえ、BOSTONみたく気楽に聞ける。

 ジャケットの表(写真)がにぎやかで華やかな劇場、裏面は寂れて打ち捨てられた劇場のイラストなのが象徴的で、本作からのヒット曲タイトルを引用すれば、これぞまさしく「時は流れて」なのである。ちょっとイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」の~もうここにスピリットはない~という隠喩に似ている。あれほど深刻じゃないけど。

 SL-1200Gの高性能振動吸収マットにディスクを乗せ、回転START。モノマガ男は普段からレバー置き派で、手で直接盤に針を乗せることはしない。シロートくさくても、わたしは絶対安心派なのである。

 針をおろす。チリパチののちにデニス・デ・ヤングの歌声と、トミー・ショウのギター。本作はバンド10作目ということで記念盤的な位置でもあったろう、それにふさわしい完成度で、口ずさめるほど親しげだ。プロミュージシャン数あれど、これほどの作品を生涯1枚でも作れれば満足と思わないと、バチが当たりそうだ。

 おおっと、ウカウカしているとコーヒーが冷めてしまうので、試聴位置にセットバック。気のせいかいつもより香りが立つ印象のあるコーヒーにハナがくすぐられ……おっと耳はスティックスに奪われて……でもってコーヒーが、いやいや音楽が……と、やはりレコード✕ コーヒーは共鳴し、主張し、これぞ名勝負!

 SL-1200Gは優れた音楽というご馳走を調理する優れた器具である。
 The Roastは美味しいコーヒーにさらなる可能性をもたらす魔法の暖炉である。

 よくばりなモノマガ男は、「ハードック用にはこのローストプロファイル」とか、「ショスタコーヴィチの交響曲な ら……」、「原田知世の『時をかける少女』なら……」と、レコードと生豆焙煎の“自分流ペアリングを深堀りせずにはいられないのである!


レコード聴きながら、コーヒー淹れたら、いつもより濃密に…



カテゴリー: moweb番外編 | 投稿日: 2017年02月23日 | 投稿者: moweb