[#061]広島にブライトリング・コンセプトショップ誕生 “SPIRIT OF BREITLING HIROSHIMA by TOMIYA

61

文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

ブライトリング
“スピリット・オブ・ブライトリング 広島 by TOMIYA” /住所=広島市中区袋町1番15-1 TEL=082-236-6690/営業時間=11:00~20:00/定休日=水曜日
http://www.breitling.co.jp/hiroshima/


11月27日、広島市の中心地に“スピリット・オブ・ブライトリング 広島 by TOMIYA”がオープンした。ブライトリングは銀座と大阪にブライトリング・ブティック2店舗、そして東京・新宿、金沢、和歌山などにショップ・イン・ショップ形式の“スピリット・オブ・ブライトリング”を8店舗展開している。そして11店舗目として広島にオープンしたのが、このショップだ。

1932年に岡山で創業した老舗時計店のトミヤとブライトリングのパートナーシップによって実現したもので、トミヤが初めて広島で手掛ける“TOMIYA 広島店”の一画に設けられている。最新のブライトリングのワールドコンセプトに基づいた演出で、内装はウッドとスチールでコントラストが作られ、シックかつモダンだ。またスイスのブライトリング本社やムーブメントの製造を担うクロノメトリーと同様に、アメリカン・ポップアートが飾られ、空間に明るさとインパクトをもたらしている。

ブライトリングの新作や限定モデルをはじめ、常時、100点以上のフルラインアップが展示され、また専用のストラップやブレスレットも揃っている。ほかに“ブライトリング・フォー・ベントレー”も展開される。接客スペースもゆったりとして、ブライトリングについての知識が豊富な“ブライトリング・セールスマスター”と会話を楽しみながら、ブライトリングの世界を堪能したい。

ブライトリングに関するお問い合わせ●ブライトリング・ジャパン 03-3436-0011

ブライトリング
「クロノマット 44 ブラック ブラック」。ブラックの文字盤にブラックのインダイアルを備えた、2015年の日本限定モデル。ブライトリングの自社ムーブメント、Cal.01(47石、毎時2万8800振動、パワーリザーブ約70時間)を直径44㎜のステンレススチール・ケースに搭載。COSC認定クロノメーター。20気圧防水。価格118万8000円(税込)。日本限定400個。

ブライトリング

ブライトリング

「オールド・ナビタイマー ジャパンエディション」。1986年に誕生した“縦三つ目”のオールド・ナビタイマーを日本市場のみに向けて復刻した特別モデル。ベゼルは両方向回転式で、文字盤外周に航空用回転計算尺を備える。直径41.5㎜のステンレススチール・ケースに自動巻きクロノグラフのCal.13(25石、毎時2万8800振動、パワーリザーブ約42時間)を搭載する。COSC認定クロノメーター。3気圧防水。価格(上)カーフストラップ75万6000円、(下)ブレスレット 90万7200円。

[#060] “グランドセイコー”誕生55周年記念写真展「Grand Seiko Through Three Photographers’ Eyes」展を開催

060

文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

グランドセイコー
田原桂一氏(左)が時計のムーブメント部品をとらえた「Parts」。


1960年に誕生した“グランドセイコー”は、実用的な腕時計の必要条件である正確さ、視認性、美しさを今日まで追求し続けてきた、セイコーを代表するモデルだ。現在ではムーブメントはクォーツ、機械式、スプリングドライブを搭載して、幅広いコレクションを揃え、年代を問わず多くの支持を得ている。

そしてグランドセイコー誕生55周年を記念して、セイコーは日本を代表する3人の写真家にグランドセイコーをそれぞれの視点でとらえ、アートフォトとして結実させる、という試みを行った。

プロジェクトに参加した写真家田原桂一氏、濱田祐史氏、野村佐紀子氏で、それぞれグランドセイコーの「精緻なものづくり」、「時のもつ物語性」、「ブランドに関わる人々の想い」をテーマに、工房やデザインの現場を訪れ、作品づくりに臨んだ。

彼らの作品を集めた「Grand Seiko Through Three Photographers’ Eyes」展は3月に開催されたバーゼルワールド2015で初めて公開され、7月にはドイツ・フランクフルトの国際写真展「RAY」に出展するなど、各地を巡回した。

そして10月30日から5日間にわたり東京・代官山のT-SITE GARDEN GALLERYで初の凱旋展が開かれる。

展覧会の詳細は下記のとおり。

期間:2015年10月30日(金)~11月3日(火・祝日)
    11:00~20:00 (最終日のみ18:00まで)。会期中無休。
場所:DAIKANYAMA T-SITE GARDEN GALLERY
    東京都渋谷区猿楽町16-15
入場無料
特設Webサイト http://seiko-watch.co.jp/gs/through-three-photographeres-eyes/

グランドセイコー
グランドセイコー
濱田裕史氏(上)が、私たちに平等に与えられた時間を可視化した「Time」。

グランドセイコー
グランドセイコー
野村佐紀子氏(上)がさまざまな立場でグランドセイコーに携わる人々を写し出した「Portraits」。

[#059] タカシマヤ ウオッチメゾンのために生まれたスペシャルモデル“モンブリラン 01”

059

文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

モンブリラン 01
2015年10月7日にオープンする“タカシマヤ ウオッチメゾン”(東京都中央区日本橋3丁目1番8号 スターツ日本橋ビル)の2階に設けられるブライトリング・コーナー(右の写真)。ブライトリングはオープンを記念して“モンブリラン 01 リミテッド”(タカシマヤ特別仕様)を発売する(左の写真)。


2015年10月7日、東京・日本橋に「タカシマヤ ウオッチメゾン」が誕生した。2020年の東京オリンピック開幕に向けて日本橋地区では再開発が進み、日本橋髙島屋も2019年春のグランドオープンを目指して新店舗の建設を進めている。その一環として従来、本館6階フロアにあった時計売り場を中央通りを挟んで向かい側にあるスターツ日本橋ビルの1階と2階に移動し、大規模な時計の館をオープンした。

売り場面積は約800㎡で、国内外の83ブランドを取り扱うが、そのひとつがブライトリング。そしてブライトリングはタカシマヤ ウオッチメゾンのオープンを祝って、モンブリランの特別仕様モデル“モンブリラン 01 リミテッド”を限定で製造した。

モンブリランは1942年に誕生した初代クロノマットのデザインを踏襲し、クラシカルな魅力をもつモデルだ。そしてこの特別モデルでは文字盤にシックなパンアメリカンブロンズを採用。また通常モデルではクロノグラフ針は赤だが、この限定モデルではケースのカラーと調和させ、18KRGモデルではゴールド、ステンレススチール・モデルではシルバー・カラーに変更している。

さらに通常モデルとの大きな違いは、ラグにダイアモンドをセットした点だ。

搭載するムーブメントは2009年に完成した自社開発、製造の自動巻きクロノグラフ、キャリバー01で、サファイアクリスタルバックを通して、その動きを見ることができる点も通常モデルとは異なっている。

製造個数は18Kレッドゴールド・モデルが2個、ステンレススチール・モデルが12個で、希少性も高い。

モンブリラン 01
“モンブリラン 01 リミテッド”。直径40㎜の18Kレッドゴールド・ケースに自動巻きクロノグラフ・ムーブメント、Cal 01(47石。毎時2万8800振動。パワーリザーブ約70時間)を搭載する。3気圧防水。クロコダイル・ストラップ。価格321万8400円。限定2個。

モンブリラン 01
上のモデルと同じ仕様のステンレススチール・ケース・モデル。価格192万2400円。限定12個。

[#058] 国内で過去最高規模のブライトリング・フェア開催     @伊勢丹新宿店本館4階=ウォッチ&ジュエリー

058

文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

ブライトリング
「ブライトリング・フェア」。伊勢丹新宿店(東京都新宿区新宿3-14-1/TEL 03-3352-1111)本館4階=ジュエリー&ウォッチにて、2015年9月30日(水)~10月6日(火)に開催。


9月30日(水)から10月6日(火)の1週間、伊勢丹新宿店で大規模なブライトリング・フェアが開催される。このフェアは期間中、「クロノマット」、「ナビタイマー」、「スーパーオーシャン」、「トランスオーシャン」をはじめとするブライトリングの各ラインが豊富に展示される。

伊勢丹新宿店の本館4階にあるジュエリー&ウォッチに常設されるブライトリングコーナーに加えて、プロモーション・コーナーやメイン通路もブライトリング一色となり、ブライトリングのダイナミックな世界が広がる。

フェアでは限定1000個で 発売される、今秋の新作「ナビタイマー 01 リミテッド」もいち早く展示されることになっている。深みのあるブルーの文字盤で、同じブルーのインダイアルとアラビア数字のアプライドインデックスが特徴。裏蓋もサファイアクリスタル仕様で、2009年から搭載が開始された、ブライトリングの自社開発・製造の自動巻きクロノグラフ・ムーブメント、キャリバー01を見ることができる。

限られた期間だが、“プロフェッショナルのための計器”を標榜するブライトリングの世界を堪能することができる機会となる。また期間中にブライトリング・ウォッチを購入、成約された方には、ブライトリングのオリジナル・ノベルティがプレゼントされる。ノベルティは数量限定のため、お早めに。

ブライトリング
「ナビタイマー 01 リミテッド」
(ブルー/アラビア)
直径43㎜のステンレススチール・ケースにブライトリングの自社製自動巻きクロノグラフ・ムーブメント、Cal.01(47石、毎時2万8800振動、パワーリザーブ約70時間)を搭載。3時位置に30分計、6時位置に12時間計、9時位置にスモールセコンドを備える。サファイアクリスタル・バック。3気圧防水。価格115万5600円。限定1000個。

[#057] 樫尾俊雄発明記念館での多機能時計特別展示が常設化

057

文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

#055でご紹介した樫尾俊雄発明記念館で6月10日から7月24日の期間限定で行われていた、カシオが開発した多機能時計の歴史を紹介する特別展示が、9月1日から常設展示となった。

1980年にカシオはデジタル技術を生かしてさまざまな機能を開発し、腕時計に搭載した。それらは今日のスマートウォッチが装備する機能を先駆けるもので、スケジュール管理や辞書、GPS、脈拍数測定、通信機能など多岐にわたっている。

こうして開発された多機能腕時計が、「ビジネス」、「健康・フィットネス」、「エンターテイメント」、「アウトドア」の4つの分野に分けて展示される。

これらを見て、「懐かしい」と思う世代もあれば、過去の技術を新鮮な驚きをもって受け止める世代もあるだろう。

【樫尾俊雄発明記念館の概要】

所在地: 東京都世田谷区成城4-9-10

開館時間: 9時30分~16時30分
休館日:  土・日・祝日。年末年始。夏季休暇
入館料:  無料(予約が必要)

予約およびお問い合わせ、休館日の確認は下記、URLにアクセスしてください。
http://kashiotoshio.org/

樫尾俊雄発明記念館
ラップメモリー機能搭載の“SDB-300W”(1986年)

樫尾俊雄発明記念館
加速度センサーで歩数、距離、時速を計測できる“EXW-50”(1989年)

樫尾俊雄発明記念館
気圧・高度・水深計を内蔵した“BM-100W”(1989年)

[#056] 日本時計学会主催「マイクロメカトロニクス学術講演会」開催

056

文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

独立時計師の菊野昌宏
特別講演に出演する独立時計師の菊野昌宏氏(左)と、菊野氏がバーゼルワールド2015で発表した“和時計改”。詳細はhttp://www.masahirokikuno.jp


日本時計学会は9月11日(金)に中央大学後楽園キャンパスで2015年度のマイクロメカトロニクス学術講演会を開催する。学会員のみならず、一般の聴講も可能で、9時から14時25分までの学術講演会のほか、国産時計メーカーの時計製品紹介セッション(14時40分~16時)、そして今年はふたつの特別講演会(16時15分~18時)が企画されている。

特別講演のひとつはウェアラブル端末をテーマにしたノルディックセミコンダクター社(ノルウェー)の山崎光男氏による「コネクテッドウォッチが切り拓く身近なIoT」、そしてもうひとつがスイスの独立時計師協会(通称アカデミー)の正会員、菊野昌宏氏による「独立時計師が考える機械式時計の価値と未来」。

片やスイスの時計業界も開発に力を入れ始めているコネクテッドウォッチ、片やスイス時計の伝統である機械式時計。ふたつの相反するテーマだが、今日の時計業界には欠かせないテーマでもあり、山崎氏と菊野氏がそれぞれどのような内容を展開するか興味深い。

また学術講演会では、「衛星電波時計の針位置検出システム」(シチズン時計)、「時計用Bluetoothプロファイル」(カシオ計算機)、「GPS ソーラーウオッチにおける小型化・薄型化技術の開発」(セイコーエプソン)など、日本の時計の最前線に関する講演が予定されている。

講演会終了後には懇親会(18時20分~20時20分)が催される。

【講演会概要】
期日:2015年9月11日(金)
会場:中央大学理工学部校舎5号館 5234号室
    (後楽園キャンパス)
    住所=112-8551 東京都中央区春日1-13-27
交通:東京メトロ丸の内線・南北線[後楽園]駅下車徒歩3分
    都営三田線・大江戸線「春日」駅下車徒歩5分
    JR中央線(総武線直通各駅停車)「水道橋」駅下車徒歩12分
参加費:学術講演会
    (時計製品紹介セッション、特別講演会を含む)   
        正会員 2000円
        非会員(一般聴講者) 4000円
        学生   1000円
      懇親会:2000円
申し込み方法:当日会場にて(事前申し込みは不要)

[#055] 樫尾俊雄発明記念館で歴代多機能時計を特別展示

樫尾俊雄

文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

樫尾俊雄
カシオの最新腕時計のひとつ、“エディフィス”は専用アプリケーションをスマートフォンにダウンロードすれば、ブルートゥースを通してスマートフォンと連携し、世界約300都市の時刻を設定できる。メインとサブダイアルを使って、ホームタイムとワールドタイムのふたつの都市の時刻を表示し、1日1回、規定の時刻に自動的にふたつの時刻を修正する自動時刻修正機能を装備。電源はソーラー充電システムで、暗所で一定時間が経過すると運針を停止し、節電するpowerセービングモードを備える。右はEQB-510D。サイズ52.0×48.1×14.2㎜。10気圧防水。価格4万3200円。左はECB-500。サイズは51.7×48.3×14.6㎜。10気圧防水。3万7800円。商品についてのお問い合わせ●カシオ計算機 お客様相談室 TEL 03-5334-4869


 「近い将来、腕時計はすべてデジタル・クォーツになる」と言われた時代がある。1980年代初めのこと。1969年に世界で初めてセイコーがクォーツ腕時計を発表したが、これをきっかけに70年代を通してクォーツが時計市場を席巻し、機械式時計は衰退の途にあった。今日のような機械式時計の復興を誰が予測しただろうか。

アナログ・クォーツからデジタル・クォーツへ、そして複数の機能をもつ多機能デジタル・クォーツへとクォーツ腕時計は進化を遂げたが、その先兵がカシオだった。

世界初の小型純電気式計算機「14-A」の発明を創業のきっかけとするカシオは、時計メーカーとは異なる発想で、さまざまな多機能時計を世に送り出した。スケジュール管理、温度や気圧、高度計測、GPS、音楽再生、カメラ、脈拍計、活動量計、歩数計など、今日のスマート・ウォッチに搭載されている機能を、1970年代から90年代にかけて、カシオは腕時計に搭載してきた。

これらの多機能デジタル・クォーツ腕時計は煩雑な操作や使い勝手の悪さで次第に姿を消してしまったが、アウトドア用の「プロトレック」シリーズを中心に気圧、温度、方位、高度計測などの機能は健在だ。また過去の開発と経験はカシオにとっては財産であり、スマート・ウォッチ開発にどのように生かされていくかが注目される。

さて40代以上の人々にとっては、「なつかしい」とも思えるカシオの多機能腕時計が、現在、東京・成城にある樫尾俊雄発明記念館で6月10日の時の記念日にちなんで特別展示されている。右はその一例で、約40点が実機あるいは写真で展示される。同記念館は2012年5月に逝去した元カシオ計算機会長の樫尾俊雄氏が残した発明を展示・公開するために、同氏の自宅を改装し、開設したミュージアムで、2013年6月から一般公開を行っている。特別展示では「ビジネス」、「健康・フィットネス」、「エンターテイメント」、「アウトドア」の4つの分野に分けて、過去の製品が展示され、カシオの先端性が表現される。

特別展示の期間は6月10日から7月24日まで。

【樫尾俊雄発明記念館】
所在地:東京都世田谷区成城4-19-10
開館時間:9時30分~16時30分(土・日・祝日は休館)
入館料:無料(入館にはWebサイト http://kashiotoshio.orgからの予約が必要です)

アクセス:小田急小田原線 成城学園前から徒歩約15分。あるいは同駅西口バス乗り場(1)から小田急バス「調布駅南口」、「狛江営業所」、「狛江駅北口行き」、または乗り場(2)から「神代団地行き」に乗り、「成城三番」で下車、徒歩約5分。

 樫尾俊雄
世界初のオートカレンダー機能搭載“QWO2-10”
(1974年)

樫尾俊雄
計算機能を搭載した“C-80”(1980年)(写真展示)

樫尾俊雄
ラップメモリー機能搭載の“SDB-300W”(1986年)

樫尾俊雄
加速度センサーで歩数、距離、時速を計測できる“EXW-50”(1989年)

樫尾俊雄
テレビ、ビデオのリモートコントロールができる“CMD-10”(1993年)

樫尾俊雄
気圧・高度・水深計を内蔵した“BM-100W”(1989年)

[#054] 独立時計師 菊野昌宏氏の不定時法腕時計を展示

054

文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

菊野
今年のバーゼルワールドで発表された菊野昌宏氏の「和時計改」。ケース・サイズは縦42㎜、横34㎜で、素材は酸化青銅とステンレススチールが用いられている。ムーブメントは手巻きのCal.mk15(21石。毎時2万8800振動。パワーリザーブ約50時間)。年間製造1~2個(受注生産)。予価1944万円。


前職は陸上自衛隊隊員という異色の時計師、菊野昌宏さんは日本人初の独立時計師協会の正会員だ。
2011年、その第一作目となる「不定時法腕時計」が完成した。季節の変化に応じて一刻の長さが異なる「自動割駒式和時計」を腕時計の大きさにまで縮小したもので、12の干支がインデックスになっている。この時計が独立時計師フィリップ・デュフォー氏の目にとまり、スイスの独立時計師協会(AHCI)に日本人では初めて推薦された。そして11年に準会員として認められ、13年には正会員の資格を得た。

AHCIは1985年に独立時計師スヴェン・アンデルセン氏、ビンセント・カラブレーゼ氏によって設立され、フィリップ・デュフォー氏、アントワーヌ・プレジウソ氏、フランソワ-ポール・ジュルヌ氏などが名を連ね、今日では11カ国、33人のメンバーが所属している。

菊野氏が2011年に発表した時計は縦50㎜、横40㎜、厚さ16㎜で、ETACal.6498をベースとしたムーブメントを搭載していた。そして今年のバーゼルワールドでは、この時計を改良し、よりコンパクトにした「和時計改」を発表。新作は小型化しただけでなく、北緯51.3度(グリニッジ)から南緯51・3度の範囲に対応し、ひとつのカムを交換するだけで様々な緯度の昼夜の長さに対応できるという特徴を備えている。

「和時計改」の製作にあたっては、セイコーホールディングス、セイコーウオッチ、セイコーインスツルの3社が協力を行った。これはすべて日本製部品を使って製作したい、という菊野氏の希望があったためで、セイコーの手巻きキャリバー8Lシリーズをベースに、菊野氏が独自に開発、製造した部品を組み合わせた、キャリバーmk15が誕生。またインデックスの干支の文字は時計の彫金細工を専門とする金川恵治氏が担当している。

この時計が銀座・和光で6月10日まで、その後はセイコーミュージアムで展示される。セイコーミュージアムには江戸時代に製作された和時計も展示され、菊野さんの腕時計の原点、そして日本独自の時計文化に触れることができる機会となる。

【展示期間】
①2015年6月4日(木)~6月10日(水) 銀座・和光(東京都中央区銀座4-5-11)
②2015年6月16日(火)~6月30日(火) セイコーミュージアム

菊野
菊野昌宏さん。1983年2月8日、北海道生まれ。高校卒業後に自衛隊に入隊。除隊後の2005年にヒコ・みづのジュエリー・カレッジのWOSTEPコースに入学し、08年に同コースを卒業。自衛隊時代、機械式時計好きの先輩がいたことが、時計への興味につながったという。ヒコ・みづのの卒業生たちは時計修理の道に入るのが通例だが、「修理ではなく、時計を作りたい」という強い思いから、卒業後は同校の研修生、10年からは講師助手を務めながら、時計製作を始めた。
http://www.masahirokikuno.jp/

菊野
和時計を展示するセイコーミュージアム。
東京都墨田区東向島3-9-7
(10:00~16:00/月曜休館)
要予約 電話03-3610-6248
http://museum.seiko.co.jp

[#053] モリッツ・グロスマン-――小石川の閑静な環境に世界初のブティックをオープン

053

文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

 モリッツ・グロスマン
小石川・播磨坂に面したモリッツ・グロスマン ブティック。店内では現行コレクションの全モデルが展示、販売される。住所:東京都文京区小石川4-15-9 TEL:03-5615-8185 営業時間:11:00~19:00 定休日:日曜、月曜


モリッツ・グロスマンはドイツ高級時計の中心地、グラスヒュッテに2008年に創設された新しい高級時計ブランドだ。ドイツ時計学校を創設するなど、19世紀のグラスヒュッテの時計製造に大きな貢献を残した時計師、モリッツ・グロスマン(1826~1855)の名を冠している。2010年に最初のモデル“ベヌー”を発表し、現在までにトゥールビヨンを含む4つのコレクションが展開される。

これらのコレクションは“ベヌー”、“ベヌー・パワーリザーブ”、“ベヌー・トゥールビヨン” “アトゥム”と名づけられている。ベヌーは古代エジプト神話に登場する鷲の名前で、創造と再生を意味する。またアトゥムは古代エジプト神話に登場するヘリオポリス九柱神の最初の神の名前で、万物の創造主とされる。モデルはすべて手巻きで、ケースは18Kホワイトゴールド、ローズゴールド、プラチナが使われている(トゥールビヨンは18KWGのみ)。

さて今年2月、モリッツ・グロスマンが初めて日本市場に上陸したと同時に世界初のブティックを東京・小石川にオープンした。高級時計ブランドのブティックというと、銀座が中心だが、敢えて小石川という地を選んだことについて、モリッツ・グロスマン・ジャパンのCEO、工藤光一氏は次のように語っている。

「小石川には江戸から明治、そして昭和の息吹がまだ息づいている場所が多く残っています。懐中時計のような作りを標榜するモリッツ・グロスマンのブティックには、その土地がもつ落ち着きと気品が必要でした」

こうして桜並木が続く小石川の播磨坂に面した閑静な場所で、元印刷工場だったという建物が高級時計ブティックへと変貌を遂げた。広さと高い天井は開放感があり、ゆったりとして居心地がいい。白いレンガと漆喰の壁、黒い木の床のコントラストが落ち着いた空間を作り出し、また店内にはドイツのハイデルベルグ社の古い活版印刷機が堂々とした姿を晒している。グラスヒュッテで作られたアンティークの工具も飾られ、グラスヒュッテの時計製造の歴史をも感じさせる。

モリッツ・グロスマンの詳細は下記サイト(現在は英語、ドイツ語のみ。4月より日本語サイトを開設予定)をご覧ください。
www.grossmann-uhren.com

モリッツ・グロスマン
「ベヌー・トゥールビヨン」。直径44.5㎜、厚さ13.8㎜の18Kホワイトゴールド・ケースに手巻き、Cal.103.0(30石。毎時1万8000振動。パワーリザーブ約72時間)を搭載する。センターに分針を置き、分針がトゥールビヨンを通過する25~35分はふたつのサブダイアルの間に記された目盛りを分針の反対側が示す仕組みで、この表示方法で特許を取得している。3時位置に時表示、9時位置にスモールセコンド、6時位置に3分で1回転するトゥールビヨンを備える。価格2484万円。限定50個。
モリッツ・グロスマン
「アトゥム」。直径41.0㎜、厚さ11.1㎜の18Kローズゴールド・ケースに手巻き、Cal.100.1 (20石。毎時1万8000振動。パワーリザーブ約42時間)を搭載する。リュウズを引くとムーブメントが停止し、秒針が止まる。そしてリュウズは針合わせモードになり、時刻合わせを行った後に4時位置のプッシュボタンを押すと時計は再び動きだす。こうして正確な時刻合わせが可能だ。価格334万8000円。ほかに18KWG、価格356万4000円がある。
モリッツ・グロスマン
「ベヌー・パワーリザーブ」。直径41.0㎜、厚さ11.65㎜の18Kローズゴールド・ケースに手巻き、Cal.100.2(26石。毎時1万8000振動。パワーリザーブ約42時間)を搭載する。12時位置に白い部分がゼンマイの巻き上げ残量を示す、赤と白のパワーリザーブ表示を備える。価格388万8000円。ほかに18KWG、価格399万6000円、PT、価格529万2000円がある。

[#052] プッシュボタンがないクロノグラフ――― ボール ウォッチ“エンジニアマスターII スライドクロノグラフ” 

052

文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

エンジニアマスターII スライドクロノ
右)9時位置にあるスライドレバー。これを12時側、あるいは6時側にスライドさせて、クロノグラフの操作を行う。
左)長時間にわたって発光するマイクロガスライトはボール ウォッチの特徴のひとつだ。


ボール ウォッチは独自の技術開発を採り入れたムーブメントやケースの設計を行う一方、買いやすい価格帯を維持している。昨年もバーゼルワールドでユニークな新作を発表したが、そのひとつ、スライドレバー式のクロノグラフ“エンジニアマスターIIスライドクロノ”が日本市場で販売を開始した。

通常、クロノグラフの操作は2時位置にあるプッシュボタンでスタート、ストップ、4時位置のプッシュボタンでリセットを行う。しかし、この時計では9時位置にあるスライドレバーを12時方向にスライドさせるとスタート、ストップ、6時位置にスライドさせるとリセットする。いずれの操作も操作後には自動でスライドレバーは元に戻る。プッシュボタンが省かれることで、デザインもすっきりとし、また操作性も向上した。

スライドレバーで心配なのは防水性の確保だが、そのためにケースは二重構造になっている。そしてインナーケースがムーブメントを守ることで5気圧防水を確保し、またふたつのケースの間に万が一、水が溜まった場合には、水を素早く抜くためのドレーンとその排出口、すなわち裏蓋にウォーター・エバキュエーションが備わっている。

文字盤外周のインナーリングや針にはボール ウォッチの特徴である、自発光マイクロガスライトを15個装備し、暗闇で高い視認性をもつ。マイクロガスライトは小さいガラス管の内側に蛍光塗料を塗布し、トリチウムガスを密封すると、互いの作用で発光する仕組みだ。スイス時計で多く使われるスーパールミノバは蓄光性だが、マイクロガスライトは自ら発光し、しかも時間の経過で光度が落ちることがないという特徴がある。ガラス管の内側に塗布する蛍光塗料の種類によって発光する色が異なり、人間の視力で識別しやすいと言われるグリーンが多いようだ。

ムーブメントはETA7750をベースとする自動巻き(21石。毎時2万8800振動。パワーリザーブ約48時間)を搭載する。12時位置の30分計と6時位置の12時間計は大きく、9時位置のスモールセコンドはそれより小さく、3時位置のデイ、デイト表示とバランスをとっている。またミニッツトラックとタキメータースケールをインデックスの内側において、全体の調和を図るなど、デザイン面でも細かい配慮がなされている。

エンジニアマスターII スライドクロノ
直径47.6㎜、厚さ15.5㎜のステンレススチール・ケースで、ラバー・ストラップがつく。1mの高さから自由落下により木の床に落とした時と同等の衝撃、5000Gsに耐えるテストに合格している。価格38万1240円。ステンレススチール・ブレスレット・タイプ、価格38万8800円もある。

商品についてのお問い合わせ
●ボール ウォッチ・ジャパン
TEL 03-3221-7807