[#099]復活した“アイクポッド”から機械式の“メガポッド”が発売

文/香山知子/『世界の腕時計』編集長


「メガポッド」。直径46.0㎜×厚さ1.7㎜のSSケースにミヨタ製のCal.9039(24石、毎時2万8800振動、パワーリザーブ約42時間)を搭載して、6型が発売された。ケースはシースルー・バック仕様で、5気圧の防水性能をもつ。ストラップはシリコンラバー製。価格はすべて15万9500円。


“アイクポッド”といえば、時計好きであればマーク・ニューソンの名前を思い浮かべることだろう。プロダクト・デザイナーとして世界的に知られる彼がデザインを手がけ、スイス製の機械式ムーメントを搭載して登場したユニークな腕時計は1990年代に誕生した。アイクポッドというブランド名は、創業者のオリバー・アイクの苗字と、マーク・ニューソンの代表作の“POD”から名付けられたものだった。

そのユニークさから時計業界に旋風を巻き起こしたものの、経営的な問題が生じて2013年にはブランドは休眠せざるを得なくなった。その後、時計の世界で再びマーク・ニューソンの名が浮上したのが、2015年に登場したアップル・ウォッチであり、アイクポッドで初めて腕時計をデザインした経験が生かされたと言われる。

さてそのアイクポッドがいま話題となっている。2017年に現オーナーのクリスチャン=ルイ・コル氏がブランドを買収し、その翌年にはクラウドファウンディングで資金調達を行った。このときわずか88分で世界各国から700人近いオーダーが入り、約40万スイス・フランを集めたという。

こうして2019年のバーゼルワールドでは新生アイクポッド初のコレクションが発表された。これがマーク・ニューソンがデザインした“ヘミポッド”のケースのフォルムを生かし、よりモダンなデザインの文字盤を組み合わせたクロノグラフの“クロノポッド”と二針の“デュオポッド”のふたつのコレクションであった。日本製のクォーツ・ムーブメントを搭載し、香港で製造を行い、これによって価格帯は8万円から10万円に抑えられた。

オリジナルのアイクポッドの雰囲気を伝えながら、価格はその1/10という点も魅力だが、これは「サステナブルな価値観」と「価格が審美の基準を表すものではない」という新生アイクポッドのポリシーを反映している。

しかし機械式を求める声も多く、今年6月にミヨタ製の自動巻きムーブメントを装備した“メガポッド”が登場した。文字盤デザインは前作と異なり、長年にわたってボーム&メルシエのデザイン・ディレクターとして活躍したアレキサンドル・ペラルディ氏が起用された。そして文字盤カラーとインデックスのデザインが異なる6型が誕生。かつてのアイクポッドの個性を保ちながらも、クォーツ・モデル同様に10万円台というリーズナブルな価格が設定された。

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