[#071]日本人ファッションデザイナーの森永邦彦氏とのコラボレーションで誕生した“ラドー トゥルー シャドー”

文/香山知子/『世界の腕時計』編集長


「ラドー トゥルー シャドー」。直径40.1㎜、厚さ10.5㎜のブラックのハイテクセラミックス・ケースに自動巻きのCal.ETA C07.631(25石、毎時2万1600振動、パワーリザーブ約80時間。DLC加工を施したローターを装備)を搭載。ブラックPVDコーティングを施したチタニウム製裏蓋にサファイアクリスタルを備える。5気圧防水。価格23万2200円。限定1001個。


今年、ラドーは世界各国のさまざまな分野のデザイナーとのコラボレーション・モデルを発表しているが、そのなかのひとりにアヴァンギャルドな試みをファッションに取り入れる日本人デザイナーの森永邦彦氏が選ばれた。

同氏は2003年に早稲田大学社会科学部卒業と同時にファッション・ブランド“アンリアレイジ”を創設。レディガガやAKBなどの衣装を手掛け、2014年からはパリ・コレクションで新作を発表し、日本の新世代のファッション・デザイナーとして注目される。

太陽光を浴びると色が濃く変化するフォトクロミックを繊維に織り込んだフォトクロミックファブリックを使った作品で知られる彼は、同じ技法をラドーとのコラボレーションに採り入れ、色が変化する“ラドー トゥルー シャドー”を生み出した。

フォトクロミックは眼鏡の調光レンズに用いられる技術で、外に出て太陽の光の下では色が濃くなり、室内に入ると薄く変化する。フォトクロミックレンズを使ったトゥルー シャドーの文字盤も同様に太陽光を浴びているとブラックカラーだが、日が沈んだり室内ではグレーに変わり、やがて透明になり、スケルトナイズしたムーブメントを見ることができる。

森永氏は「紫外線で色を変化させるフォトクロミックレンズを使って、“移ろう”時の本質を時計で表現すること」を試みたという。紫外線を受けなくなると、文字盤を暗くしていた影が消えて、腕時計のムーブメントが浮かび上がる。「本来目に見えなかったものを見えるようにするというのが私のデザイン哲学です。服を取り去れば、身体が露わになるということと似ています」と述べている。


森永邦彦氏。1980年東京生まれ。早稲田大学在学中にバンタンデザイン研究所でファッションデザインを学ぶ。2006年にニューヨークの新人デザイナーコンテスト「GEN ART」でアヴァンギャルド大賞、2011年に第29回毎日ファッション大賞新人賞など、多数の賞を受賞する。