[#065]時計・宝飾ヒラノ(名古屋)で9月20日までフェア開催中。大衆派のグラスヒュッテ製時計、“ブルーノ・ゾンレー”

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文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

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右●「メカニック エディション 5」。直径43㎜のSSケースに自社製の手巻き、Cal.2000(17石、毎時1万8000振動、パワーリザーブ約40時間)を搭載。10気圧防水。37万2600円。中●「ステリナ」。直径33.8㎜のユニセックス・モデル。自動巻きのCal.B200(25石、毎時2万8800振動、パワーリザーブ約40時間)を搭載。SS。10気圧防水。価格21万1680円。左●「ロンドグラフ」。ムーブメントに美しく仕上げを施したクォーツ・クロノグラフ。直径41㎜のSSケース。5気圧防水。価格10万4760円。3モデル共にサファイアクリスタル・バック。


1991年の東西ドイツの壁の崩壊がドイツに高級時計製造を復活させた、という事実がもうすでに昔話のようにも思える。その高級時計製造の中心が旧東ドイツに属するグラスヒュッテだが、「昔話」と表現したくなるほど、今日、この地の時計産業は活況を呈している。そして時計愛好家たちは、グラスヒュッテ製と聞けば、ドイツの高級時計をすぐに想像することだろう。もちろん機能性が高く、質実剛健、高品質というドイツ製品らしさを備えているのはいうまでもない。

グラスヒュッテはドイツ・ザクセン州の中心、ドレスデンから車で1時間半ほどの山間にあり、人口は4500人ほどにすぎない。18世紀には鉱山資源で潤っていたグラスヒュッテだが、それが枯渇し、貧困にあえぐ村と化した19世紀半ば、いわば「村おこし」として時計産業がスタートした。

それは1853年にA.ランゲ&ゾーネを創業したアドルフ・ランゲや、モリッツ・グロスマンなど4人の時計技術者がザクセン公から資金協力を得て、グラスヒュッテに時計産業を興す団体を結成することで始まった。彼らはベンチャー・ビジネスを立ち上げたアントレプレナーだ。

このとき、ザクセン公は「ムーブメント、時計本体の製造工程の55%をグラスヒュッテで行い、また一定の品質基準を満たしたものだけをグラスヒュッテ製と認める」という法律を制定した。この原産地と品質の証明が時計製造では新興の地であるグラスヒュッテに特別な意味を与えた。今日でもグラスヒュッテで製造される時計は、この法律に従っている。

第2次世界大戦後の共産圏時代には国営工場で安価な時計を大量に生産していたグラスヒュッテだが、ドイツ統合で再び手作業に重点が置かれる高級時計作りが始まった。

ところでグラスヒュッテの時計というとA.ランゲ&ゾーネのような一般には手が届きにくい100万円以上の高価な時計を思い浮かべがちだが、グラスヒュッテ独自の時計製法の伝統を守りながらも、買いやすい価格帯の機械式時計を作っているメーカーも存在する。2000年にブルーノ・ゾンレー氏が創業したブルーノ・ゾンレーもそのひとつだ。

ブルーノ・ゾンレーの工房では、グラスヒュッテの伝統に則り3/4プレートやスワンネック緩急針、シャトンなどを採用した、安定性が高い手巻きムーブメント、Cal.2000を製造。このムーブメントではヒゲゼンマイや主ゼンマイ、ルビーなどを除くほとんどの部品を自社工房で製造している。また自動巻きムーブメントのCal.B200はスイスのセリタ製をベースに、地板やブリッジなどを自社で製造し、仕上げを施し、調整を行っている。今日では部品の75%は自社製だ。このほかクォーツ・ムーブメントを製造している点もブルーノ・ゾンレーの特色のひとつだ。

男性用、女性用ともにデイリーユースにふさわしいベーシックなデザインで、複数のシリーズを揃えている。男性用の直径40~44㎜のモデルではCal.2000を搭載した手巻きの“メカニック”シリーズと、自動巻きのCal.B200を積んだ“ラゴマット”や“アクアリウム”などのコレクションが揃う。また直径34~36㎜で自動巻き(Cal.B200)を搭載する“ステリナ”と”フェリナ”のシリーズには男性用と女性用がラインアップされる。どのモデルも5気圧あるいは10気圧防水を保証する。

ケースはステンレススチール製で、価格は機械式で20万円から30万円台だ。また今秋に発売となる“シュトゥットガルト”シリーズは自動巻きモデルが16万1320円(税込)という非常に良心的な価格が魅力だ。

昨年10月にはドイツ連邦のヨアヒム・ガウク大統領からアメリカのバラク・オバマ大統領にドイツ東西統合25周年を記念して、ドイツ連邦政府公認時計メーカーとして認められたブルーノ・ゾンレーの“メカニック エディション4”が贈られた。これはブルーノ・ゾンレーがドイツを代表するメーカーであると認められた証でもある。

さて8月20日(土)から9月20日(火)まで名古屋の“時計・宝飾ヒラノ”(名古屋市東区徳川2-3-11 TEL052-935-5278 10:00~19:00 定休日:日祝日)でブルーノ・ゾンレー・フェアが開催されている。この機会にオバマ大統領に贈られた“メカニック エディション 4”をはじめ、ブルーノ・ゾンレーが作る、庶民に身近なグラスヒュッテの時計に触れてみよう。

ブルーノ・ゾンレーについての詳細はwww.brunosohnlejapan.com/を参照されたい。

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「シュトゥットガルト」。グラスヒュッテにある部品製造工房を買収することで、製造コストを大幅に抑え、今まで以上に買いやすい価格を実現した。上は直径36 ㎜のSSケースに自動巻きのCal.B200を搭載した『シュトゥットガルト スモール」。サファイアクリスタル・バック。5気圧防水。価格15万9840円。ほかに直径42㎜のモデル(価格17万640円)もある。

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「シュトゥットガルトⅡ」。直径42㎜のSSケースに大型日付表示とスモールセコンドを備えたクォーツ・ムーブメントを搭載。メタルメッシュベルト付き。サファイアクリスタル・バック。10気圧防水。価格11万3400円。