[#055] 樫尾俊雄発明記念館で歴代多機能時計を特別展示

樫尾俊雄

文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

樫尾俊雄
カシオの最新腕時計のひとつ、“エディフィス”は専用アプリケーションをスマートフォンにダウンロードすれば、ブルートゥースを通してスマートフォンと連携し、世界約300都市の時刻を設定できる。メインとサブダイアルを使って、ホームタイムとワールドタイムのふたつの都市の時刻を表示し、1日1回、規定の時刻に自動的にふたつの時刻を修正する自動時刻修正機能を装備。電源はソーラー充電システムで、暗所で一定時間が経過すると運針を停止し、節電するpowerセービングモードを備える。右はEQB-510D。サイズ52.0×48.1×14.2㎜。10気圧防水。価格4万3200円。左はECB-500。サイズは51.7×48.3×14.6㎜。10気圧防水。3万7800円。商品についてのお問い合わせ●カシオ計算機 お客様相談室 TEL 03-5334-4869


 「近い将来、腕時計はすべてデジタル・クォーツになる」と言われた時代がある。1980年代初めのこと。1969年に世界で初めてセイコーがクォーツ腕時計を発表したが、これをきっかけに70年代を通してクォーツが時計市場を席巻し、機械式時計は衰退の途にあった。今日のような機械式時計の復興を誰が予測しただろうか。

アナログ・クォーツからデジタル・クォーツへ、そして複数の機能をもつ多機能デジタル・クォーツへとクォーツ腕時計は進化を遂げたが、その先兵がカシオだった。

世界初の小型純電気式計算機「14-A」の発明を創業のきっかけとするカシオは、時計メーカーとは異なる発想で、さまざまな多機能時計を世に送り出した。スケジュール管理、温度や気圧、高度計測、GPS、音楽再生、カメラ、脈拍計、活動量計、歩数計など、今日のスマート・ウォッチに搭載されている機能を、1970年代から90年代にかけて、カシオは腕時計に搭載してきた。

これらの多機能デジタル・クォーツ腕時計は煩雑な操作や使い勝手の悪さで次第に姿を消してしまったが、アウトドア用の「プロトレック」シリーズを中心に気圧、温度、方位、高度計測などの機能は健在だ。また過去の開発と経験はカシオにとっては財産であり、スマート・ウォッチ開発にどのように生かされていくかが注目される。

さて40代以上の人々にとっては、「なつかしい」とも思えるカシオの多機能腕時計が、現在、東京・成城にある樫尾俊雄発明記念館で6月10日の時の記念日にちなんで特別展示されている。右はその一例で、約40点が実機あるいは写真で展示される。同記念館は2012年5月に逝去した元カシオ計算機会長の樫尾俊雄氏が残した発明を展示・公開するために、同氏の自宅を改装し、開設したミュージアムで、2013年6月から一般公開を行っている。特別展示では「ビジネス」、「健康・フィットネス」、「エンターテイメント」、「アウトドア」の4つの分野に分けて、過去の製品が展示され、カシオの先端性が表現される。

特別展示の期間は6月10日から7月24日まで。

【樫尾俊雄発明記念館】
所在地:東京都世田谷区成城4-19-10
開館時間:9時30分~16時30分(土・日・祝日は休館)
入館料:無料(入館にはWebサイト http://kashiotoshio.orgからの予約が必要です)

アクセス:小田急小田原線 成城学園前から徒歩約15分。あるいは同駅西口バス乗り場(1)から小田急バス「調布駅南口」、「狛江営業所」、「狛江駅北口行き」、または乗り場(2)から「神代団地行き」に乗り、「成城三番」で下車、徒歩約5分。

 樫尾俊雄
世界初のオートカレンダー機能搭載“QWO2-10”
(1974年)

樫尾俊雄
計算機能を搭載した“C-80”(1980年)(写真展示)

樫尾俊雄
ラップメモリー機能搭載の“SDB-300W”(1986年)

樫尾俊雄
加速度センサーで歩数、距離、時速を計測できる“EXW-50”(1989年)

樫尾俊雄
テレビ、ビデオのリモートコントロールができる“CMD-10”(1993年)

樫尾俊雄
気圧・高度・水深計を内蔵した“BM-100W”(1989年)