[#053] モリッツ・グロスマン-――小石川の閑静な環境に世界初のブティックをオープン

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文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

 モリッツ・グロスマン
小石川・播磨坂に面したモリッツ・グロスマン ブティック。店内では現行コレクションの全モデルが展示、販売される。住所:東京都文京区小石川4-15-9 TEL:03-5615-8185 営業時間:11:00~19:00 定休日:日曜、月曜


モリッツ・グロスマンはドイツ高級時計の中心地、グラスヒュッテに2008年に創設された新しい高級時計ブランドだ。ドイツ時計学校を創設するなど、19世紀のグラスヒュッテの時計製造に大きな貢献を残した時計師、モリッツ・グロスマン(1826~1855)の名を冠している。2010年に最初のモデル“ベヌー”を発表し、現在までにトゥールビヨンを含む4つのコレクションが展開される。

これらのコレクションは“ベヌー”、“ベヌー・パワーリザーブ”、“ベヌー・トゥールビヨン” “アトゥム”と名づけられている。ベヌーは古代エジプト神話に登場する鷲の名前で、創造と再生を意味する。またアトゥムは古代エジプト神話に登場するヘリオポリス九柱神の最初の神の名前で、万物の創造主とされる。モデルはすべて手巻きで、ケースは18Kホワイトゴールド、ローズゴールド、プラチナが使われている(トゥールビヨンは18KWGのみ)。

さて今年2月、モリッツ・グロスマンが初めて日本市場に上陸したと同時に世界初のブティックを東京・小石川にオープンした。高級時計ブランドのブティックというと、銀座が中心だが、敢えて小石川という地を選んだことについて、モリッツ・グロスマン・ジャパンのCEO、工藤光一氏は次のように語っている。

「小石川には江戸から明治、そして昭和の息吹がまだ息づいている場所が多く残っています。懐中時計のような作りを標榜するモリッツ・グロスマンのブティックには、その土地がもつ落ち着きと気品が必要でした」

こうして桜並木が続く小石川の播磨坂に面した閑静な場所で、元印刷工場だったという建物が高級時計ブティックへと変貌を遂げた。広さと高い天井は開放感があり、ゆったりとして居心地がいい。白いレンガと漆喰の壁、黒い木の床のコントラストが落ち着いた空間を作り出し、また店内にはドイツのハイデルベルグ社の古い活版印刷機が堂々とした姿を晒している。グラスヒュッテで作られたアンティークの工具も飾られ、グラスヒュッテの時計製造の歴史をも感じさせる。

モリッツ・グロスマンの詳細は下記サイト(現在は英語、ドイツ語のみ。4月より日本語サイトを開設予定)をご覧ください。
www.grossmann-uhren.com

モリッツ・グロスマン
「ベヌー・トゥールビヨン」。直径44.5㎜、厚さ13.8㎜の18Kホワイトゴールド・ケースに手巻き、Cal.103.0(30石。毎時1万8000振動。パワーリザーブ約72時間)を搭載する。センターに分針を置き、分針がトゥールビヨンを通過する25~35分はふたつのサブダイアルの間に記された目盛りを分針の反対側が示す仕組みで、この表示方法で特許を取得している。3時位置に時表示、9時位置にスモールセコンド、6時位置に3分で1回転するトゥールビヨンを備える。価格2484万円。限定50個。
モリッツ・グロスマン
「アトゥム」。直径41.0㎜、厚さ11.1㎜の18Kローズゴールド・ケースに手巻き、Cal.100.1 (20石。毎時1万8000振動。パワーリザーブ約42時間)を搭載する。リュウズを引くとムーブメントが停止し、秒針が止まる。そしてリュウズは針合わせモードになり、時刻合わせを行った後に4時位置のプッシュボタンを押すと時計は再び動きだす。こうして正確な時刻合わせが可能だ。価格334万8000円。ほかに18KWG、価格356万4000円がある。
モリッツ・グロスマン
「ベヌー・パワーリザーブ」。直径41.0㎜、厚さ11.65㎜の18Kローズゴールド・ケースに手巻き、Cal.100.2(26石。毎時1万8000振動。パワーリザーブ約42時間)を搭載する。12時位置に白い部分がゼンマイの巻き上げ残量を示す、赤と白のパワーリザーブ表示を備える。価格388万8000円。ほかに18KWG、価格399万6000円、PT、価格529万2000円がある。