[#052] プッシュボタンがないクロノグラフ――― ボール ウォッチ“エンジニアマスターII スライドクロノグラフ” 

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文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

エンジニアマスターII スライドクロノ
右)9時位置にあるスライドレバー。これを12時側、あるいは6時側にスライドさせて、クロノグラフの操作を行う。
左)長時間にわたって発光するマイクロガスライトはボール ウォッチの特徴のひとつだ。


ボール ウォッチは独自の技術開発を採り入れたムーブメントやケースの設計を行う一方、買いやすい価格帯を維持している。昨年もバーゼルワールドでユニークな新作を発表したが、そのひとつ、スライドレバー式のクロノグラフ“エンジニアマスターIIスライドクロノ”が日本市場で販売を開始した。

通常、クロノグラフの操作は2時位置にあるプッシュボタンでスタート、ストップ、4時位置のプッシュボタンでリセットを行う。しかし、この時計では9時位置にあるスライドレバーを12時方向にスライドさせるとスタート、ストップ、6時位置にスライドさせるとリセットする。いずれの操作も操作後には自動でスライドレバーは元に戻る。プッシュボタンが省かれることで、デザインもすっきりとし、また操作性も向上した。

スライドレバーで心配なのは防水性の確保だが、そのためにケースは二重構造になっている。そしてインナーケースがムーブメントを守ることで5気圧防水を確保し、またふたつのケースの間に万が一、水が溜まった場合には、水を素早く抜くためのドレーンとその排出口、すなわち裏蓋にウォーター・エバキュエーションが備わっている。

文字盤外周のインナーリングや針にはボール ウォッチの特徴である、自発光マイクロガスライトを15個装備し、暗闇で高い視認性をもつ。マイクロガスライトは小さいガラス管の内側に蛍光塗料を塗布し、トリチウムガスを密封すると、互いの作用で発光する仕組みだ。スイス時計で多く使われるスーパールミノバは蓄光性だが、マイクロガスライトは自ら発光し、しかも時間の経過で光度が落ちることがないという特徴がある。ガラス管の内側に塗布する蛍光塗料の種類によって発光する色が異なり、人間の視力で識別しやすいと言われるグリーンが多いようだ。

ムーブメントはETA7750をベースとする自動巻き(21石。毎時2万8800振動。パワーリザーブ約48時間)を搭載する。12時位置の30分計と6時位置の12時間計は大きく、9時位置のスモールセコンドはそれより小さく、3時位置のデイ、デイト表示とバランスをとっている。またミニッツトラックとタキメータースケールをインデックスの内側において、全体の調和を図るなど、デザイン面でも細かい配慮がなされている。

エンジニアマスターII スライドクロノ
直径47.6㎜、厚さ15.5㎜のステンレススチール・ケースで、ラバー・ストラップがつく。1mの高さから自由落下により木の床に落とした時と同等の衝撃、5000Gsに耐えるテストに合格している。価格38万1240円。ステンレススチール・ブレスレット・タイプ、価格38万8800円もある。

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●ボール ウォッチ・ジャパン
TEL 03-3221-7807