[#038]“革新的発想”に驚かされるスイス高級時計ブランドが集う 「パレス - Noble & Innovative Swiss Watch Exhibition 2013」開催

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文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

左:カンタロス、中央ビクロノ・ラファガ、右:P'6780
(左)クリストフ・クラーレの新作「カンタロス」。チタニウムと18Kホワイトゴールドのケース。ケース径45mm。予価1921万5000円。10月頃発売予定。(中央)ドゥラクールの新作「ビクロノ・ラファガ」。ふたつの自動巻きクロノグラフを搭載。チタニウム・ケース。ケース・サイズ横63mm、縦59mm(ラグを含む)。限定222個。価格315万円。(右)ポルシェデザインのP’6780 ダイバー。自動巻き。可動式ブリッジを備えるチタニウム・ケース。ケース径46.8mm。1000m防水。価格99万7500円。


4月25日からスイス・バーゼルで開催された時計新作発表会「バーゼルワールド2013」は展示会場の大幅なリニューアルがひとつの話題だった。1号館、2号館というメイン会場には各ブランドが立派な“館”をつくり、ブランド力を競い合っていたが、それとは別に「パレス」、俗称“テント村”がある。その俗称のとおり、大型テントが展示会場。つまりシンプルな仮設展示場だが、そこに居並ぶブランドは個性派ぞろいで、時計愛好家には実に魅力的な場所だ。「ブースの立派さより、時計で勝負」、テント村からはそんな声が聞こえてくる。

さて6月11日から東京・銀座で「パレス - ノーブル&イノヴェイティブ・スイス・ウォッチ・エキシビション2013」が開催される。これは輸入商社ノーブルスタイリングが扱う時計ブランドの展示会だが、その大半が前述の「パレス」で新作を展示していたことから、“パレス”と名づけられている。

以下の6ブランドを中心に展示される予定だ。

1)クリストフ・クラーレ
多くの有名ブランドのためにミニットリピーターやオートマトン、トゥールビヨンなどの複雑時計を開発してきた、フランス人時計師、クリストフ・クラーレ氏のブランド。2009年に初めて自らの名前を冠した複雑時計「デュアル・トウ」を発表し、以後、独創的なモデルを世に送り出している。今年のバーゼルワールドではクロノグラフのスタート、ストップ、リセットの切り替え毎に音が鳴り、またコンスタントフォースを文字盤側の6時位置で見ることができる、自動巻きシングルプッシュボタン クロノグラフ「カンタロス」が話題をよんだ。

2)ドゥラクール
ふたつのクロノグラフをひとつの時計におさめた「バイクロノ」をはじめ、大胆で華やぎがあるデザインが世界中のセレブリティの人気を集めている。“Since Tomorrow”(明日から)というキャッチフレーズが、一歩、先を行くブランドの独創性を表現。

3)hD3
スイスの時計デザインの第一人者、ヨルグ・イゼック氏が、同じく時計デザイナーのファブリス・ゴネ氏と創業したブランド。超複雑機械式時計を手がけてきたが、2011年、ハイテクを駆使した、タッチスクリーン方式の「スライド」を発表し、スイス時計の新しい扉を開いた。電話やゲーム機能は備えていないが、「時」のさまざまな表示をダウンロードでき、時計のパーソナライズを楽しめるという新世代の時計だ。

4)HYT
HYTはHydro Mechanical Horologistの略で、液体を用いて機械式時計の時を表示するという、斬新なアイデアを実現。時計製造のみならず、医療分野など異なる専門分野の6人がコンセプトを構築し、2012年に最初のモデル「H1」を発表した。時計の領域を超えた革新的なアイデアが注目されている。

5)ロマン・ジェローム
「有名な伝説のDNA」をコンセプトに2004年に創業したジュネーブの新進ブランド。アポロ宇宙船、月の石、タイタニックの船体、自由の女神などの一部をステンレススチールなどに溶かし、それをケース素材とすることで、人類の歴史を時計に凝縮している。このほか今年はユニークなデザインのモデルを発表し、新たなコンセプトの展開も始めた。

6)ポルシェ・デザイン
ポルシェ・デザインはポルシェ911をデザインしたフェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェ氏(1935~2012)が1972年に創業し、さまざまなプロダクト・デザインを手がけてきた。その代表作が創業の年にIWCの協力を得て発表したオールブラックの腕時計で、当時の時計業界にセンセーションを巻き起こした。現在、再びオリジナルのスピリットを受け継ぐコレクションが展開されている。

日頃、手にする機会が少ないユニークな時計たちが一堂に介する貴重な6日間となり、時計好きには見逃せない。ノーブルスタイリングが扱う、このほかのブランドの経営陣の来日も予定されている。

「パレス - Noble & Innovative Swiss Watch Exhibition 2013」
会場:東京・銀座 清月堂ギャラリー
東京都中央区銀座5-9-15  Tel 03-3571-2707
期間:6月11日(火)~6月16日(日) 11:00~19:00(最終日は16時30分まで)
入場無料

スペースクラフト
ロマン・ジェロームの2013年新作「スペースクラフト」。自動巻き。前面にレッドラッカーのカーソルで表示されるリネア・レトログラード方式のジャンピングアワー、上面にディスクによる分表示を備える。ブラックPVDのチタニウム・ケース。け^-ス・サイズ縦50mm、横44.5mm。限定99個。価格294万円。

hD3の「スライド」
hD3の「スライド」。スイスで開発されたCLTエレクトロニック・ムーブメントを搭載。ステンレススチール・ケース。ケース・サイズ縦57.8mm、横47.71mm。価格73万5000円。

HYT「H1」
HYT「H1」。文字盤の下にあるふたつのベロー(ふいご)の片方に蛍光塗料で着色した粘性の低い液体、他方に透明で粘性の高い液体が入り、手巻きムーブメントの上部に組み込まれたカムがピストンを押し、ふたつのベローを作動させる。一方を圧縮すると他方が減圧し、チューブ内のふたつの液体の境界線を動かし、液体が時を示す(写真では10時)。12時位置に分、9時位置にスモールセコンド。ケース径48.8mm。予価630万円。8月発売予定。

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