[#033]国産初の腕時計「ローレル」のデザインをモダンにアレンジした「プレサージュ ほうろうダイヤル」

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文・小野正章/『世界の腕時計』副編集長

[左]プレサージュ ほうろうダイヤル限定モデル[右]メカニカル自動巻 3針モデル
左は「プレサージュ ほうろうダイヤル限定モデル」の「メカニカル自動巻 多針モデル」。自動巻きCal.6R27。パワーリザーブ約45時間。価格10万5000円(限定500個)。右は「メカニカル自動巻 3針モデル」。自動巻きCal.6R15。パワーリザーブ約50時間。価格8万4000円(限定500個)。ともにステンレススチール・ケース。シースルー・バック。10気圧防水。ケース径40.5㎜。


2013年は国産初の腕時計が誕生してからちょうど一世紀。これを記念して、セイコーから琺瑯(ほうろう)文字盤を採用したふたつの機械式モデルが発表された。「プレサージュ ほうろうダイヤル限定モデル」である。

それまで携帯できる時計といえば懐中時計しかなかった20世紀初頭、やがて来るであろう腕時計の時代に備えて、セイコーは独自の技術による腕時計の開発に乗り出した。こうして1913年に登場したのが「ローレル」だ。外観は当時の主流だった懐中時計の面影をとどめ、琺瑯引きの文字盤にはスモールセコンドが備わっていた。それは、搭載する12型7石の手巻きムーブメントが、当初は懐中時計用として開発されたものだったからだ。しかし、当時の懐中時計の製造が最大で一日200個であったのに対して、「ローレル」は30個が限界だったというから、その製造は困難を極めたことがうかがい知れる(弊社刊・国産時計博物館より)。

このたび発売された「プレサージュ ほうろうダイヤル限定モデル」は、当時の乳白色の琺瑯を再現し、デザインをモダンにアレンジして製品化された。文字盤に採用された琺瑯は、不純物の極めて少ない粘土・純水・ガラスなどを成分とする釉薬をベースの文字盤に塗布して高温で焼成するという伝統的な手法を用いている。しかし、この方法は非常に手間がかかり製造も難しいため、従来では一部の高級モデルにしか採用されてこなかった。また、インデックスはアラビア数字からローマ数字に変更されているが、12時位置の“Ⅻ”は「ローレル」のアイコンともいえる赤い塗装が施された。

ラインアップはパワーリザーブ表示と指針式の日付表示を備えた「メカニカル自動巻 多針モデル」とディスク式の日付表示が付いたシンプルな「メカニカル自動巻 3針モデル」を用意。ともに最新の自動巻きムーブメントを搭載する。

1913年製造の「ローレル」
懐中時計のデザインの流れを汲んだ1913年製造の「ローレル」。100年を経ても色あせない琺瑯文字盤に赤い“12”が凛々しい。