
不落札となったマリーンクロノメーターだったが、オークション後に「チャリティー・オークションの記念にぜひ、購入したい」という参加者が現れ、売り上げは777万円となった。左から認定NPO法人「難病の子ども支援全国ネットワーク」会長の山城雄一郎さん、「ITALIANS FOR TOHOKU」のクリスティーナ・モリーニ・墨さん、オフィチーネ パネライ ブランドCEOの伊知地 徹さん。

去る9月28日(金)、東京・三田にある在日イタリア大使館でオフィチーネ パネライが日本では初めてとなるチャリティー オークションを開催した。一般ユーザーやプレス関係者、およそ200名が集まり、サザビーズ ジャパン代表取締役社長の石坂泰章さんがオークショニアーを務め、午後7時30分からオークションがスタート。オークションは初めて、という参加者が多かったものの、石坂さんのリードのもと、会場はスタートと同時に熱気に包まれた。
出品された時計は右の写真にある5つの時計と、来年1月にジュネーブで開催される新作発表会SIHHとパネライ発祥の地であるフィレンツェを巡る5泊7日のツアーで、総売り上げは777万円。そして全収益が「難病のこども支援全国ネットワーク」と、イタリア大使館が後援する在日イタリア人たちによる震災復興支援のボランティアグループ「ITALIANS FOR TOHOKU」に寄付される。
「難病のこども支援全国ネットワーク」は1988年に難病の子どもをもつ親と医師たちによって設立され、1999年にNPO法人として認証を受けた組織だ。子どもの難病は500種類を超え、多くの病名はほとんど一般には知られていない。しかし全国には20万人以上の子どもが難病に苦しんでいると言われ、「難病の子ども支援全国ネットワーク」はこうした子どもたちとその家族を支えることを目的にさまざまな活動を行っている。
オフィチーネ パネライからの寄付金の一部は、オフィチーネ パネライと共同開催する「パネライ・セーリングスクール」にも活用される予定だ。これは来年初夏に逗子マリーナで予定され、海洋冒険家の白石康次郎さんとともに難病の子どもたちがヨット体験をすることで、日常では味わえない海風を感じてもらおう、という試みだ。
オフィチーネ パネライにとって日本初のチャリティー オークションだったが、子どもたちの難病について知る機会ともなり、それがオークション参加への意欲を増すことにもなったようだ。落札者たちは欲しい時計を手にした喜びだけでなく、社会貢献の満足感という心地よさを味わったことだろう。オークション後、参加者たちはワインや食事とともに初秋の宵を楽しみ、初の試みは幕を閉じた。