[#027]タンクはタンクにしてタンクなり――――「タンク アングレーズ」誕生

027

文/香山知子/『世界の腕時計』編集長

タンク アングレーズ
タンク ルイ カルティエ
上は今年発売の「タンク アングレーズ」。左は1922年に発表された「タンク ルイ カルティエ」。いずれも1917年にデザインされたオリジナル・タンクの基本デザインを踏襲している。オリジナル誕生以来、非常に多くのバリエーションが作られながら、「タンク」であることは誰の目にも明らかで、「タンクはタンクにしてタンクなり」だ。そしてこれほど完成された美しさをもつ時計も数少ない。


腕時計の歴史は100年程だが、そのなかで時代が変わっても美しさを称えられるモデルは多くはない。その代表格のひとつがカルティエの「タンク」だ。タンクの誕生は第一次世界大戦中の1917年のこと。ルイ・カルティエが戦争の新たなマシンとして登場した戦車(タンク)から発想したと言われる。まっすぐに伸びた縦のライン、両サイドを結ぶ水平のラインで構成される角型は力強く、そして凛とした美しさを湛えていた。そしてこのデザインは1920年代に流行したアールデコ・スタイルの先駆けでもあったが、時計といえば丸型がお決まりの時代に角型は異色であった。しかしルイ・カルティエは手首の上で美しい形を求めたのだろう。

ところで第一次世界大戦は近代戦の始まりでもあり、集団行動のために共通した時刻が必要とされた。その時刻を瞬時に知るためには、当時の主流であった懐中時計を悠長に取り出してはいられない。そこで兵士たちには腕時計が必需品となった。そしてその便利さを知った兵士たちは戦後も腕時計を身に付け、1920年代後半には腕時計が懐中時計に取って代わったのだった。

さてタンクは1919年に製品化され、1922年にはオリジナルよりも丸みを帯び、縦と横のラインの幅も細くなった「タンク ルイ カルティエ」が登場。その後、さまざまなバリエーションが生まれたが、オリジナル・タンクの基本デザインが変わることはなかった。時代もかわり、カルティエの経営形態も変化したが、タンクは作り続けられ、1989年には「タンク アメリカン」、1996年には「タンク フランセーズ」が誕生している。

そして今年6月、全く新しいコレクション「タンク アングレーズ」(英国風タンク)が発売となった。縦枠のなかにリュウズを納めて直線のラインを強調したボリューム感のあるケースが特徴だ。しかしタンクであることに変わりはない。95年前に誕生したオリジナル・タンクの流れを汲みながらも、今までにない新しいタンクの創造だ。

「タンク アングレーズ」は3サイズ、全25モデルで展開される。ケースとブレスレットは18Kピンク、イエローあるいはホワイトゴールド、そして今秋に発売となる18Kピンクゴールドとステンレススチールのコンビネーションがある。またダイヤモンドをセットしたモデルも含まれる。

永遠の美の新たな解釈は、オリジナルの完成度の高さがあるからこそ実現したといえるだろう。

「タンク」についての詳細は『世界の腕時計』No.112(2012年6月8日発売)をご覧ください。

「タンク アングレーズ」LM
「タンク アングレーズ」LM。縦47mm、横36.2mm、厚さ9.82mm。2010年発表のカルティエ製自動巻き、Cal.1904 MC(毎時2万8800振動。パワーリザーブ約48時間。27石)を搭載。18Kピンクゴールド。シースルー・バック。3気圧防水。価格346万7100円

「タンク アングレーズ」MM
「タンク アングレーズ」MM。縦39.2mm、横29.8mm、厚さ9.5mm。自動巻き、Cal.077(毎時2万8800振動。パワーリザーブ約38時間。25石)を搭載。18Kピンクゴールド。シースルー・バック。3気圧防水。価格281万1900円

「タンク アングレーズ」SM
「タンク アングレーズ」SM。女性にむけた小ぶりなサイズ。縦30.2mm、横22.7mm、厚さ7.19mm。クオーツ。3気圧防水。価格195万900円

商品についてのお問い合わせ
カルティエ カスタマー サービスセンター
☎0120-301-757