#439 私物でドン 「知らなきゃよかった編」

写真・文/桜井靖人(モノ・マガジン編集部)

moweb

439 私物でドン 「知らなきゃよかった編」

5年ほど前にサンフランシスコのフリマで購入したいわゆるラバーブーツ。定番のビーンブーツかと思って手に取るとなんか様子が違う。ヒールをのぞくと見知らぬロゴと見慣れたネーム。はて?そこへ店主がボクに声をかけてくる。「古いヴィンテージのブーツだよ。ぜんぜん履いてないからきれいだろ、ソールを見てみな」と。

こういう場合はまず高いお値段をふっかけられるパターン。フリマなれしたボクは、そこまで欲しくはないんだけど、という顔をしながらブーツを360度ぐるりとチェック。素材よし、縫製よし、雰囲気よし、ヒールに刻まれた「MADE IN U.S.A.」もまたよし!決めてはサイズ。店主にお断りして足を通すと、まさかのシンデレラフィット! いつのまにか現れた奥さまの「あら、アナタお似合いよ!」というお世辞にすっかり買う気モリモリ。歳にしたら70代後半だろうか、店主である白人のご夫婦の笑顔もすてきではないか。さっきまでの警戒心は何処へやら。デレデレした顔のボクに「100ドルじゃ高いかね?80ドルならどう」とご主人。

結局、ブーツの横にあった70年代モノのサムソナイトのスーツケースと合わせて100ドルで交渉成立。我ながら良い買い物。この旅行で一番のおみやげとなった。さて、このブーツのオチ。帰って調べるとご主人の言ったとおり、本当のヴィンテージだった。しかも、80年代、古くて70年代とふんでいたこのブーツ。検索してもほとんど情報が出てこない。ようやくたどり着いたアメリカのヴィンテージ好きのサイトから50年代の製品であることが判明。

つまりあのご主人ではなく、そのお父さんが購入していたモノではないかと推測される。なんと、ボクより歳上のブーツさん(ここからさん付け)だった。でも、ヴィンテージとはいえブーツはブーツ。飾りじゃない。雨の日の取材に颯爽と履いていったのは良いけれど、歴史的な価値の匂いのするブーツをアスファルトの上でソールを減らすやはり気がひけた。

調べるんじゃあなかったな。でも知ってしまったからには。結局、ビーンブーツを新品で買うことにして、こちらは本棚の一番目立つ場所に保管中。どなたか、同じブーツをお持ちの方がいたら情報を。

ヒールをのぞくと見知らぬロゴと見慣れたネームヒールに刻まれた「MADE IN U.S.A.」もまたよし!素材よし、縫製よし、雰囲気よしいまさら説明不要。アメリカのファッションアイコンのひとつであり、カジュアル界の永遠のスタンダードのコンバース。そのコンバースは1902年に創業。ブランドのスタートはラバーブーツの生産だったって知ってました?サンフランシスコからウチに来たコンバースは、タグや縫製、ソールのパターンから50年代の製品であろうかと。つまり、ジャックパーセルよりも、ワンスターよりも前に作られていた、いわばコンバースオリジン。

※本ページ掲載の写真は、クリックすると拡大してご覧いただけます。