#310  2017東京モーターショー備忘録

文/桜井靖人(モノ・マガジン編集部)

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楽しかった! というヒトもいれば、つまらんかった、というヒトも。ボクの周辺クルマ好き調査ではほぼ半々の評判でありましたね、今回の「東京モーターショー2017」。

個人的には、行って良かった! 特に面白かったのが意外や意外。会場のむかって左奥。トヨタ関連のブース。

トヨタ本体ではなんといっても新型「センチュリー」。威風堂々としたスタイリングはもはやロールス! といった存在感。国産唯一にして、世界で一番信頼のおける12気筒エンジン(あくまで個人的な思い込み)がなくなってしまったのはアレですが、ともあれレクサスには出せない神社仏閣的なオーラは海外のメディアさん的にも大ウケだったようですしね。

そして「TJクルーザー」。FJクルーザーの後継、なんて言い方をしているメディアもいますが、これはまったくの新ジャンルでしょ。角のとろけたSUVばかりで、男性ホルモン足りないな、と思っていたワタシの心の隙間にバシッと入る、いますぐにでも買いたい、と思ったメンズモデルです。

写真で見るより実物はそんなに大きくなくて、サイズはアルファードよりコンパクト(全長:4300㎜×全幅1775㎜×全幅1775㎜)。濡れモノがそのまま荷室に乗せられるようフロアは樹脂成形。できればリアのハッチは上開きでなく、観音開きにしていただけるとワーク仕様っぽくてさらにカッコよく使えそうなのですが。開発の方々どんなもんでしょう? ちなみに車名の「T」はTOOLBOX(工具箱、「J」は“喜び“)から、だそうですからやはりここは思い切って観音開きモデル。そんなバリエーションやカスタムの面白さもふくめ、市販化が待ち遠しい1台です。

トヨタ・グループということで展開していた、お隣の「ダイハツ」ブースもこれまた楽しかった。ちなみにダイハツは今年で110周年。目玉はなんといっても「DN compagno(コンパーノ)」。たしかイタリアのカロッツェリアがデザインした昭和の名車「コンパーノ ベルリーナ」のリバイバルモデル。ボクの先輩がこれのスパイダーに乗っていたので、思いもひとしおです。コペンじゃなくて、1000㏄クラスでこのまま市販すれば50代の子離れしたオサレなおじさんを一網打尽にできると思うのですが、いかがなもんでしょうか。

もう一台の注目は「DN Pro Cargo」。説明するまでもありませんが、高度成長期の日本を支えた3輪ワークホース「ミゼット」の現代版ともいえるコンセプトカー。タイヤの数こそ4輪ですが、小さなボディをとにかく大きく使ってやろう! という意気込みはまさにミゼット譲り。EVモデルに車イスを格納するスロープ付きモデルは、最近そこらじゅうにある介護施設や年配の家族と暮らすクルマ好きにはまさにぴったり。コンパクトカーではこれまでいろんな提案型商品を送り出してきたダイハツさんだけに、ワクワクする展示内容でした。

じつは今回のモーターショー、これまでにないほど滞在時間が短かったのですが、さきほどのトヨタ関連ブース以外ではタイヤやブレーキの部品メーカーさんや自動車メーカーに細かなパーツを供給しているいわゆるサプライヤーさんの展示がどこもユニークでクルマより見学時間が長かったほど。来るべきEV時代、自動運転時代に向けて、クルマメーカーだけでなく、業界全体が大きく動いているんだなと実感。

運転の自動化や燃費・環境性能競争とか「数字で勝負する系」のクルマは、スペックアップしか進化の方向がない。肝心なのは、目で見て心躍るクルマ。所有したくなるクルマの未来のほう。そんなことからも、トヨタが理屈抜きにカッコイイクルマを提案していたことが意外であり、嬉しくもある。

トヨタのブースでこんなに興奮したのは、のちの初代「MR2」となったコンセプトモデル「SV-3」が展示された1983年の東京モーターショー(当時、ボクは中学生。会場の晴海までたしか船で行ったはず)以来じゃないかな。ほんと、来てよかった。帰りのりんかい線の中でセンチュリーの資料を眺めながらニヤつく乗り物担当者でありました。

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創業者、豊田佐吉氏の生誕100年にちなんで1967年に搭乗したのが「センチュリー」。エンブレムには、伝説の鳥「鳳凰」があしらわれる。新型「センチュリー」は2018年内に発売予定。

「TJクルーザー」。独立式のいわゆる「キャプテンシート」スタイルを採用した車内はあえて4人乗車。展示車のシックなダーク系もいいけど、FJのようなポップなイエローや鮮やかなブルーも似合いそう。とにかく、市販化されたし。

こんなクルマが配達や送迎で街を走っている風景を想像するだけでうれしくなる。「DN Pro Cargo(写真上)」と「ミゼット(下)」。

「コンパーノ ベルリーナ(写真上)」と「DN compagno(下)」。現代版コンパーノは、こんな可愛らしいクーペスタイルでありながら4ドアモデルである点にも注目。