#298 面白いのはこれからだ! クルマ、徒然なるままに

写真・文/桜井靖人(モノ・マガジン編集部)

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面白いのはこれからだ クルマ、徒然なるままに

クルマ好きでなくとも気になるのが、エンジンの未来。欧州ではすでにガソリン車やディーゼル車の販売を全面禁止(フランス、イギリスが2040年までに実施予定を発表)とするなど、エンジンの終わりがすでに始まっている状況。でも、ちょっと待てよ。イギリスもフランスもほんの2年ほど前まで「ディーゼル車推し」だったはず。いやいや、ドイツ勢だって、ル・マン24時間レースでディーゼルエンジン搭載のレースカーで速さと高燃費を武器に優勝し、時代はディーゼル向かい風だったはず。それが、これからはEV(電気自動車)以外はクルマではない的な空気感。これってどうなのでしょう。つまりエンジンをとりまく変化のスピードにはぼくらドライバーどころか、自動車メーカーも追いついていないというのが本当のところではないでしょうか。そしてこの感覚、以前に感じたことあるな、と思ったら思い出しました。そうですオーディオのメディアの歴史に似てるんですよ。レコード(ガソリン)が長いこと続いて、カセットテープ(ディーゼル)と共存。その後、CD(コンパクトディスク)、MD(ミニ・ディスク!)がハイブリッドやプラグインハイブリッドのように市場を席捲。あの感じですよね。EVはさしずめ「シリコン・オーディオ」といったところでしょうか。

 ところで本当に、ガソリンや軽油を燃やして走るエンジン(内燃機関)はなくなるのでしょうか? 5年どころか、2年先も読めない時代にこんなことを考えるのもアレですが、ボクは20年、30年後でも絶対になくならないと思います。というのもエンジンの可能性はまだまだ伸びしろがあるからです。たとえばガソリンエンジンの場合、燃料を燃やして得られるエネルギーのわずか30%ほどしか使われていないという事実。これが、最近になって50%、60%にまで引き上げることが可能(つまり倍)になる、という技術発表も。また、ロータリーエンジンでル・マン24時間レースを制したマツダは現在のエンジン比で最大30%のトルクアップ、燃費も45%改善した次世代ガソリンエンジンを開発発表。どっこい、コッチのエンジンもEVと同じく未来へ向かっている、ということをアピールしたばかり。クリーンで潔癖に思えるEVだって、排気ガスを出すマフラーこそないものの、その電気を作り出す発電所はまだまだ火力に頼らざるを得ない、という事情も忘れてはいけませんしね。

 オーディオとは違い、環境問題もクリアしなければならない自動車の世界なのだけれど、レコード針がいまさら再生産されるように、カセットテープ復活があるように、あるいはソーラーで電波式の時計が登場しても機械式時計がなくならないように、そうそうエンジンはなくならないと思う今日このごろ。2040年、編集部のある中野界隈の道路には1充電で1ヶ月は走るスマホのようなEVとアナログメーターを備え、5Lほどで東京-大阪間を走る趣味のエンジン自動車が共存しているのではないかと占うのりモノ担当者。