[#205]生涯R/C宣言

写真/油科康司(WPP) 
文/岩井良祐(モノ・マガジン編集部)

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すでに先月の話だが、老舗ラジコンメーカー京商からのお誘いにより、モノマガジン編集部(2名)は横浜の赤レンガ倉庫にて、「KYOSHO TROPHY 2014 ファイナル」に参戦してきた。これは大会を終えてからラジコン魂に火が点いたモノマガジン編集部の物語である!

大会の概要をざっくりと説明すると、
一つ、我々はプレス対抗レースに参戦する。競技には1/10スケールのR/Cバギーを使用。個人的には1/27スケールのミニッツレーサーシリーズが、精巧なパーツ構成と実写さながらの走行性、それから部屋の中でも練習できるコンパクト感が好きなのだが、オフロードを得意とするこの1/10スケール電動バギーを屋外の広々としたコースを走らせると最高に気持ち良いのだ! 

二つ、当日は雨天であったため、予選は5分間走行内でのベストラップを競い、本選では周回数を競うルールとなった。

三つ、電動バギーの日本一を競うこの大会は第21回目を迎え、全国で開催された予選を通過する腕を持ち、かつ開催地まで足を運ぶ気概と経済力を持たねばならず、我々のような素人が参戦するのはクラス別とはいえ恐れ多いことである。ちなみに他のクラスとは1/8と1/12スケールの電動レーシングカーのことである。

四つ、人種・年齢・性別の差別はなし。相手が子どもだろうが大人げなく本気でぶつかることが礼儀である(彼らはメチャメチャ上手い!)。とはいえ、ラジコンは誰でも気軽に遊べて奥も深いのだよという旨を人々に伝えることが情報誌としての本懐である。

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「京商の電動バギー」と聞いてすぐに「スコーピオン」や「ビートル」を連想した40~50代のアナタはさぞヤンチャ小僧であったろう。スコーピオンといえば30年以上前になるが1982年に登場し、砂煙をあげながらダートを駆る“バハバギースタイル”は世界中から人気を集め、いまなお色褪せない不朽の名車だ。しかし当時10歳前後のキッズたちには高価(当時の価格は1万7000円くらい?)な電動バギーには手が届かず、いまでも憧れの存在として記憶している御仁も多いと聞く。でもね、そんなキッズももう立派な大人。カバーや全体的なフォルムは崩さずに、各ディテールがアップグレードしたスコーピオンが蘇ったとなれば、「おとなの経済力」で当時の夢を手にすることができるのである!(復刻版は2万7864円)

と、まあ前置きはここまでにして、スコーピオン世代ではない私でも相手がラジコンとあれば、問答無用で胸が熱くなるのである。参戦しない理由がないのである(朝早かったくらい)。

当日はあいにくの天候だったが、全国決勝レースとプレス対向レースは無事に開催された。練習する場所と時間を設けられず、素人同然で挑んだ我々だが、何やらクルマやラジコン専門誌チームからも同じようなボヤキ声が聴こえて冷静さを取り戻せた。素人は素人同士、仲良くしようじゃない。レースの結果は……参加した二人ともアクシデントに見舞われて、残念ながら上位入賞ならず。それでも完走できたことでホッとひと安心。ベストラップタイムなら14車中トップだったけども! 予選のルールなら目立てたのが悔やまれる。あまり緊張せずに走れたので、バギーの醍醐味である凸凹コースでのサスペンションが沈む感覚はしっかり体験することができた。

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自分のレースを終えた後は余裕の観戦。全国大会決勝の異次元なレベルに見惚れていた。個性的にカスタムされたマシンは見た目にも楽しいが、コーナーではしっかりカウンターを当てたり、濡れた路面でもスリップさせないプロポ操作には脱帽。トップを走るマシンにはコースを譲る精神も素晴らしい。転倒やコースアウトしてしまったマシンは、スタッフ以外にも出番がない選手が交代してレースを円滑に進めている。みんなで大会を運営している一体感があってとても良い雰囲気だった。

それにしてもフルカスタマイズしたら一台で何十万もかかる本格R/Cの世界だが、出場者である彼らはどのようにして家族(特に妻)を説得させているのだろう? おおよそ見て分かることもあれば、聞いて納得な回答も。

見ればわかる理由「家族を巻き込んで遊ぶ」。
パパが楽しそうにラジコンを操っている。そんな姿を見せられた子どもはもう走らせたくてたまらない。泣きじゃくってラジコンを欲する。パパはしょうがないなと言って入門機を我が子に買い与える。ここまでならママはしぶしぶ了承する。そしてパパと坊やが楽しそうにラジコンで遊ぶ姿を見ていると今度はママが駄々をこね始める。当然である。しかしここでヤリ手のパパはママにも丁寧にラジコンの操作方法を教える。ママもあら、ちょっとコレ面白いわね、とこうなる。すると普段はクルマに興味を示さないママでも、坊やのマシンや自分のマシンは自然に覚えるので、マシンの故障やカスタマイズに対しても理解してくれるようになる。パパの勝利である。決めゼリフは「家の中でゲームやネットばかりしている子より、ずっと健全だろう?」

訊いてびっくりした理由「本物のクルマよりお金がかからないから」
泣けてくる妻の声。そう、全国の上位入賞者の中でもかなり多いパターンが「車が大好きなパパ」に対する、金銭的な妥協案がラジコンなのである。他メーカーと比べてもカスタムパーツが豊富で実車さながらのカスタマイズが可能な京商のラジコンなら、クルマ好きも満足させられるのだ。無論、元ヤン……ではなくて純粋にクルマ好きなママもいる。コレは実話である。

そんな環境で育った坊やたちは全国大会出場常連者を親に持つサラブレッドだ。冒頭で触れた、子ども相手に全力で当たるべし、という教訓はこのためである。坊やが大会で表彰台にあがろうモノなら、ママも鼻が高いに違いない。ともあれ、次代のラジコン界を担う若者が着々と育っていることには驚いた。既に大人たちと遜色ないレベルの彼らはこの先どれ程のレベルに達するのだろう。いまの内に友達になっておきたいものである。

最後に朗報を。スコーピオン、ビートルに続き、ビンテージシリーズ第3弾には復刻リクエストNo.1の「トマホーク」が6月に発売するとのこと! 真紅のダンパーが似合う軽量化された最強の2WD! コレが欲しくてスコーピオンを見送ったファンもいるのだとか。モノマガジンだって見過ごすつもりはないぞ!

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コイツが噂のスコーピオン。ギヤボックスとオイルダンパーを除き、すべて自分で組み立てるので愛着感も4割増し。全長約398mm、価格2万7864円。レディキットではないので2ch1サーボプロポや540クラスモーター、バッテリーなどは自分で用意しよう。

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私が駆るサンドマスター! 箱から出したらすぐに走らせられる電動バギーのザ・入門セット。付属の送信機はスロットルやステアリングの効き具合を微調整でき、面倒なバンド管理などは一切ナシ! 全長395mm 価格2万304円

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カメラマンが捉えた敗北の瞬間。ひゃっほーいとジャンプしたモノの、ボディからラップを測るセンサーが飛び出しているではないか! このセンサーがなかなか発見されずに大幅なタイムロスを・・・・・・。ガムテームでガッチリ固めておけば!

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スコーピオンはステアリングと加速面で性能差があったので仕方なし。この差を埋めるのがテクニックとカスタマイズなのかと勉強になった。

【問】京商☎046-229-4115
http://www.kyosho.com/jpn/