[#198] エキゾチズムは、初秋の風に乗って

文・和田史子(モノ・マガジン編集部)

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言わずと知れた、ドイツの高級筆記具ブランド、モンブラン。1924年に登場し、一世を風靡した「マイスターシュテュック」など、名品は数多い。同ブランドには数々の限定コレクションがあり、コレクターやファンを楽しませている。そのひとつが、毎年初秋に登場する「作家シリーズ」である。

時代を超えて、我々の知的好奇心を刺激し続ける文学作品の生みの親、世界の文豪たちに敬意を表し発表される、万年筆やボールペンなどの特別限定品。2014年は、『ロビンソン・クルーソー』を著したダニエル・デフォーをモチーフに選んだ。

写真の万年筆(12万9600円)やパームグリーンのカラーインク(2160円)のほか、ボールペンやローラーボール、カフリンクスなどをラインアップ。いずれもロビンソン・クルーソーの無人島での冒険と、大英帝国の誇りといった、作品にまつわる世界観を具現したものだ。 そのほかモノに関する詳報は、9月16日発売号の『モノ・マガジン』10月2日号を楽しみにお待ちいただきたい。

さて先日、そのお披露目が行われ、筆者も会場に足を運んだ。 無人島での冒険のエッセンスを感じさせる、ツリーハウスのようなこぢんまりとした空間。波音が流れ、砂浜をイメージしたスペースには、無人島に流れ着いて時を経たかのようなスーツケースや本、双眼鏡などのアイテムが並ぶ。

デフォーと、彼が生み出したロビンソン・クルーソーの世界観、そして18世紀当時のイギリスが抱えたエキゾチズムを見事に表現した空間で、新作のペンやインクを試しながら、心地よい時間を過ごすことができた。

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【問】モンブラン銀座本店
☎03-5568-8881
URL http://www.montblanc.com/

1992年からはじまったモンブランの「作家シリーズ」。毎年、贅と技術とセンスを駆使して仕上げられる作品は、テーマとなった文豪たちのそれに劣らぬ名作ぞろいだ。

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1992年、作家シリーズの第1弾に選ばれたのは、世界的な文豪であるアーネスト・ヘミングウェイだった。胴軸の鮮やかなコーラルと首軸やキャップのダークブラウンとのコントラストは、美しくも、文豪のデスクにこそふさわしいシックさである。
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1997年には、ロシアの小説家であり思想家であるフョードル・ドストエフスキーがモチーフに選ばれた。胴軸やキャップのリング、さらにペン先に施された精緻な装飾に、帝政ロシア時代の華やかさを垣間見る。
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2004年に登場したのが、フランツ・カフカ。代表作『変身』をイメージし、レジン製のペンの形状を角形から丸形へと、なめらかに変形させている。さらにペン先には虫を刻印し、“変身”を表現した。
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2011年に採用されたのは、カルロ・コッローディ。小さな木彫り人形の冒険物語、『ピノッキオの冒険』のファンタジックな世界観を表現している。キャップにはスケルトンにオーバーレイ加工を施し、クジラや妖精、キツネなど作中に登場するキャラクターを盛り込んだ。
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2012年は、『ガリバー旅行記』で著名な風刺作家のジョナサン・スウィフト。ガリバーが縛り付けられた縄をイメージし、胴軸に多層の象嵌を施したほか、キャップでガリバーの三角帽子を模しているなど、随所に遊び心があふれる。