[#188] 東京スカイツリーを建造した 大林組の技術力を目の当たりにした!

写真・文/和田史子(モノ・マガジン編集部)

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大林組が世界に先駆け開発したスーパーアクティブ制震装置「ラピュタ2D」を、新本館で実用化した。センサーが地盤の揺れを感知し、写真のアクチュエーターが建物自体に加力して揺れを打ち消す仕組みで、震度5弱まで対応。設置後起きた地震の最大震度3でも、棟内に立てた鉛筆が倒れなかったという。

世界一の高さを誇る電波塔、東京スカイツリーの開業から2年。その施工を担当したスーパーゼネコン、大林組の技術研究所に完成した新実験棟へ、ひと足先に訪れる機会を得た。

1965年に東京都清瀬市に開設された技術研究所の再整備の一環で、延べ5211㎡の棟内に、東京スカイツリーにも注ぎ込まれた建築&土木技術の粋を結集している。

建物の外壁や床の素材から空調設備に至るまで、新素材や省エネ部材を徹底して採用。プレゼンテーションストリートを少し歩けば新技術に当たる、という充実ぶりだ。

主要設備にはコンクリートの耐久試験を行うものが多いが、中でも興味深かったのは、免震床や人工気象再現室。

日本は世界有数の地震発生国だけに、対地震の技術力でも世界の先端を独走しているが、中小規模の揺れから大規模なものまで対応する大林組独自の制震技術の効果は、体験装置で実感できた。

今回見学した実験棟は、技術開発の場としてはもちろん、顧客に取って出しの技術を見て体感してもらい、受注獲得につなげるためのプレゼンテーションの場としての役割もある。

今後どのような技術が生み出され、開放されていくのか、大いに楽しみだ。

「ラピュタ2D」による制震効果を、実際に体感できる装置も設置。このように複数人が同時に体験できる大規模な装置は、民間企業では唯一だ。ムービーは、阪神淡路大震災・神戸地区の約70%の揺れを、床下の制震装置が可動することで打ち消している様子。

188_02—30℃〜+60℃までの気温や、湿度、風、雨、雪、日射を作り出せる「多目的人工気象再現室」を2室装備。世界中のどんな過酷な気象条件もここで再現し、建築部材の耐久試験などを迅速に行える。188_03ミキサーを搭載したモバイル式のコンクリート製造プラント。ミキサー車で運搬することなく、どんな特殊材料や配合でも高精度でクリアできる。188_04東京スカイツリーが、下町の狭小地で634メートルもの高さを実現できた理由のひとつに、超高強度鋼材の採用がある。その強度は700N/㎟だったが、今回新実験棟の柱に使われたのは新開発の鋼材で1000N/㎟という世界最高強度を誇る。 188_05二酸化炭素の排出量を60〜80%抑えられるコンクリート「クリーンクリート」を外壁に用いた。旧赤坂プリンス跡地に建設予定の建物にも採用が決まっている。188_06カーテンウォールには、ガラスタイプの太陽光発電や、換気などのシステムをパッケージ化。商用電力に頼らず“自産自消”の電力供給を行える。188_071階プレゼンテーションストリートの床は、一見タイルのようだが、実は塗床にカッターで削って目地を作った「リニアートフロア」。タイルに比べ軽量な上、荷重や衝撃にも割れたりはがれたりせず、コストも4割減となる。