[#186] 猫に鰹節

文/小川太市(モノ・マガジン編集部)

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186_01本日発売の『君の知らない猫』。もう、ご覧になられましたでしょうか。可愛い愛玩動物としてでなく、猫をキーワードにあらゆる事象に切り込む男の趣味本としても楽しめるちょっと異色?な猫本に仕上がっております。

例えば岡部いさく氏による「空飛ぶ猫の物語」。

航空機メーカーのグラマン社が開発した、”キャット・シリーズ”なる軍用機を紹介する内容で、第二次大戦中に活躍したワイルドキャットから映画『トップガン』で一躍有名となったトムキャットまでを網羅。軍事評論家が猫(シリーズ)について大真面目に語るという内容で必見です。

他にも”猫まんま”の研究。猫まんまのルーツとは、美味しい猫まんまの定義とは、、、と猫が食べるご飯ではなく、人間が食べる”鰹節御飯”についてご紹介。

現在ではパックされた鰹節しか見たことがないという人も多いですが、昔は鉋で削っておりました。そこで、浅草橋で老舗の刃物問屋として知られる”森平”さんに鰹節の削り方の極意やツールなどをお教え頂くことに。

実は鰹節を削るためには専用の”鰹節鉋(かつおぶしがんな)”なるモノが 存在しており、森平では刃物メーカー”宗次(むねつぐ)”謹製の鰹節鉋が販売中。

鰹節を削るためだけに作らたという鉋で打刃物と樫材を使った本格派。鉋を収める木箱は桐製で削り節を収める引き出しまで一体化しております。まるで工芸品のような出来栄えに惚れ惚れとしますが、やはり本質は道具。使ってナンボです。

森平の四代目社長・小黒氏のレクチャーで木槌で刃を調整、削り節を作る所まで見せて頂くことに。削り方で最も気をつけなくてはいけないのが刃の調整。

木槌で刃や台を叩いて微調整。ここは木材を削る鉋と同じ要領となります。丁度いい刃の長さになったら鰹節の節目を考えて台に乗せて前に押し出すように。シャッシャッと小気味の良い音と立てながら鰹節は削り節となって引き出しに落ちていきます。

ある程度削ったら引き出しを開けると、何ともいえない良い香りが漂ってきます。つまみ上げた鰹節は向こう側が透ける位の薄さで口に入れると淡雪のようにふわりと溶ける。醤油などの調味料を何も付けなくてもそのまま食べられる程の味わい。

「今では料理店でも最初から削る所は少なくなっちゃったけど、昔はどこの家庭でも鰹節を削る事から料理を始めていたんだよね。特に子供たちの当番になっていて。僕は限界ギリギリまで削っていたなぁ(笑)」と懐かしそうに語る小黒社長。

一見すると大変そうに見えますが、本物の鰹節鉋を手にして、刃の調整さえしておけば手間はそんなにかかりません。何より美味しい削りたての鰹節が食べられるのは他に代えがたいモノがあります。

それに、台所に置いておくだけで、おっ何それという話題になる事請け合い。是非とも一家にひとつは備えておきたいモノです。

186_02186_03鰹節鉋
名門刃物メーカーとして知られる宗次製。桐の木箱に鰹節削り用鉋がセットされています。価格1万4826円。【問】森平03-3862-0506 186_04