[#185] 眼鏡産業の聖地、鯖江の現在

文/小野正章(モノ・マガジン編集部)

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昨年10月に開催された「鯖江ものづくり博覧会」に出展した際のSBWのブース。

この3月末、取材のため福井県鯖江市を訪ねた。

鯖江といえば古くから漆器の製造や繊維産業が盛んな土地だが、現在では世界有数の眼鏡製造地として知られるようになっている。

この地に眼鏡作りが根付いたのは109年前。増永眼鏡の創業者が農閑期の副業のため福井市に工場を設立したのが始まりだ。

増永の工場で働いていた職人たちはやがて独立し、鯖江の河和田地区に工場を立ち上げるなどして、同地の眼鏡産業も次第に隆盛をきわめていった。そして現在、鯖江の労働人口の6分の1が、眼鏡産業に携わっているという。

今回の取材も、もちろん鯖江の眼鏡作りの一端を見ることにあった。素材から組み立てまでを自社工場で行う大手メーカー、鍛造、塗装、研磨のスペシャリストたち、そして鼻パッドだけを製造する工場など、一貫制と分業制が混在した鯖江の姿をこの目で見て、取材し、それを誌面で伝えることが目的だった。

しかし、世界的に知られるようになった鯖江とは言え、家内制手規模の工場も多く、経営者の引退を機に廃業する零細企業が後を絶たない。

鯖江の眼鏡産業の未来は決して楽観できないのである。

そこで、鯖江の若手経営者10名がSBW(SABAE BRAND WORKING GROUP)というグループを立ち上げ、伝統と技術を生かした鯖江眼鏡のブランド化を図っていこうという動きも活発化している。

チタン製の眼鏡を世界で初めて開発したように、そもそも鯖江の技術力は世界一といっても過言ではない。若いデザイナーたちの発想も斬新だ。

あとは、いかに世界にアピールできるか。それが鯖江、いや日本の眼鏡産業の未来につながっている。この取材記事は5月30日発売の『モード・オブティーク』に掲載するので、ぜひご高覧を!

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エクセレンスチタンの眼鏡で一躍有名になったシャルマンは鯖江有数の大メーカー。右はチタンの原石、左がエクセレンスチタンに加工したもの。

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三重工芸は塗装のスペシャリスト。「トレミー48」のバファローホーンにグラデ塗装を施しているところ。

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研磨技術が有名な谷口眼鏡は、「マサヒロマルヤマ」を始め若手メーカーからの信頼も厚い。ファクトリーブランド「ターニング」も手掛ける。

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眼鏡作りの要、金型製造で名高い服部製作所。冷間鍛造の技術にもすぐれている。

185_07鼻パッドの専業メーカー松原製作所。左はさまざまなデザインがある鼻パッドの金型で、右はその製造工程。