[#173] 他人様の工具のなんと魅力的なことよ

文/岩井良祐(モノ・マガジン編集部)

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鎌倉のアイアンワークショップ「Fe★NEEDS」の工具たち。整理された工具はこんなにも美しい。

つい先日、2月2日発売のモノマガ本誌の工具特集にて、さまざまな職業の方から自前の工具セットを拝見させていただいたのだが、これが面白い面白い。少しずつ買い足して辿り着いたと思われる工具セットは、定番の工具があれば、使い方が想像できない見知らぬ工具もあれば、工具単体としての役割は知っていたものの、自己流の使い方を見出されたカスタム工具もあったりと、言わずとも工具愛が伝わってくる。とあるバイク修理専門店さんはバイクのバッテリーとコード式の電動工具を改造して、電動ドライバーを持ち運びタイプにしてしまうという、メーカーもいろんな意味で真っ青になりそうなカスタムがあったり「こりゃ掲載できん」という斬新な使い方をする方も何人かお会いした。ここでは「う~む、プロだ」としか感想は述べないでおこう、うん。

やはり初見の工具もワクワクする。説明を受けてもピンと来ないモノに関しては、実演していただいたのだが、それがどれだけスゴイことなのか、正直わからないことも多かった。

自転車工具などはまさしくその例で、六角レンチセットさえ持っていれば、8割近くのメンテナンス作業ができ、一般人ならこの工具のみで充分だということを教えてもらった。そして残りの2割の作業内容のために、数十種類の専用工具が製造されプロの手に渡る。

専用工具を持ってはいるものの、まだ依頼された修理で一度も使用したことがない工具もかなり多いのだとか。もちろん使用方法は熟知している。やはり餅は餅屋ですよ。

そんな姿を見ていると、ちょっとその領域まで踏み込んでみたくなるのが専用工具の色気。自分ができない作業をテキパキこなす人って、プロだから当然といえばそこまでなのだが、なんかこう生存率やら適応力が高そうに思えて、サバイバル環境でも逞しく生き残れるような気がしてしまう。

逆に何も考えず「壊れた~、修理出そ。」で終わってしまうとお金以外にも失ってしまうモノがある気がするのだ。やはり自分でもある程度挑戦してみるべきなのだろう。

高品質の工具はかなり値が張る。ラチェットなんて1本1~2万円なんて当たり前。ちょっとメンテナンスをしたかっただけ、なんて気持ちでお店に足を運んでしまうと、その高額っぷりに気圧されて、ついその場凌ぎの安物に手を出す人も多いだろう。

工具はなが~く使うモノだ。高品質の工具を一度手に取って、持ち手への負担、表面処理の美しさ、素材の良さ、そして作業のしやすさを比較してみていただきたい。つまり、慌ててホームセンターに駆け込むのではなく、ウィンドウショッピング気分で工具を見に行くと、それぞれの工具がもっと魅力的に見えますよってこと!

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バイク修理店ガレージUCGさんのツールボックス。これまた美しい整備工具たち。専用ボックスを持つとなおさら映える。

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カスタム電動ドライバー。バッテリーにこんな使い道があったとは……。

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インテリアスタイリスト石井さんのツールボックス。BluePointの真っ赤な箱は、気分を盛り上げてくれる。

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氷彫家の平田さんの彫刻セット。氷で常に濡れた状態にあるので、サビないようにメンテナンスは怠らない。キレイな状態を保っているものだ。