[#139] VHSカセットを整理したい

文/モノマガ男(モノ・マガジン編集部)

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DXアンテナのDXR160V。価格はオープンで実勢2万円前後。

春になると世の中がなんだかソワソワする。卒業、入学、入社、転勤。自分の環境が変化する人が多いからなのかな。あるいは単に、屋内にこもりがちな長い冬が終わって、気持ちのスプリングが弾けるからか。要は、ナニかしたくなるのである。

モノマガ男の場合、傾向として春になると模様替えをしたくなる。カーテンを替えたりするとずいぶん見た目の印象が変わってすっきり感も出るけど、今年は「所有物のデトックスが吉」と出た。

職業が雑誌屋なので冊数が多いのを少し整理したり、気に入ってるからって理由だけでとっておいた穴の開いたソックスやクリーニングに出しても襟のシミが落ちない白シャツなど衣類関連はさくっと捨てた。履かないスニーカーなんかはあげたし、集めただけで遊ぶこともなかったオールドラジコンカーはまとめて売ってしまった。

そして最後に手をつけたのが、VHSテープである。  

VHSがおよそ50本くらいありダンボール箱ひとつぶんあったのが無性にかさばっているように思えてきたのだ。

ヘタくそな手書きのタイトルラベルを確認し、昔テレビで録ったが現在普通にDVDやBDで購入できるソフトはさっぱり捨てられた。困るのがテレビ番組である。

テレビ番組はそのものがソフト化されることも少ないし、また間に挟まるCMが懐かしくてむしろ貴重に思えてくる。私がVHSをよく録っていたのは‘90年代なので、「24時間戦えますか」のリゲインとか、日本文化センターのルームランナーとか、数々のヒット曲を生んだ「じゅわいおくちゅーるマキ」とかね。

捨てる? とデトックス推進論者(私A)が聞くと、
いや。 と(私Bが)答える。

では。

DVDが普及し始めた頃からVHSとDVDのハイブリッドマシンは存在した。いってみりゃ「ダビング専用機」であって、ガジェット好きやVHSが多すぎて本当に困っているコレクター、または整理好き(オープニング、エンディング、CMなどをきっちりカットする)などが早々に使い出していた。モノマガにもそういう性質の人が一人いるけれど、彼は現在、膨大なアニメ系VHSからダビングし終えたDVDを、さらにBDにダビングしなおしている。この作業、新メディアが出る限り続くだろう(笑)

で、私もやってみようと思った。思った時期はGW前で、運良く(?)GWは自宅で仕事だからちょうどいい、それに私はたかが50本くらいだし、なんて思って。

使ったのはDXアンテナブランドの地上デジタルチューナー内蔵ビデオ一体型DVDレコーダー「DXR160V」だ。すでに発売されて1年程度経つが、価格は実勢で2万円くらいと手頃で、ダビング用途はもちろん、DVDソフトをPCで観ていた私にとっては、これで正真正銘ディスプレイで観られるのもメリットに感じた。

本機はVHSからDVDへのダビングと、その逆もできる。むろんコピーガードの入っているものはできないが双方向ダビングってぞんがい便利なのではと感じた。

保存版たるDVDは「安心・信頼の日本製」ということでJVCの50枚を購入した。1200円くらいだったかな。1枚25円くらいだ。

テープを入れる。DVDを入れる。DVDの認識が終了すると、画質、フォーマット(ビデオモードかVRモード)の方法を選択する。あとはダビングボタンを押すだけ。以上。

とまあ作業はこれだけ。あとは待つ。ひたすら待つ。3倍で録った120分テープなら、6時間録りっぱなし。当たり前。

ちなみにデジタル放送をダビングするならVRモード、それでなければビデオモードが使える。ビデオモードだとDVDプレーヤーのほか、PCなどでも観られるが、録った後の編集ができない。具体的にはCMをカットするとか、そういうことがビデオモードだとできない。自分の都合に従い選択すればよい。

ダビングされたDVDを見ると、アタリマエだけどVHSの画像が移植されている。画質については同等といってよい。テープ自体久しぶりに再生したものの場合、途中で瞬間砂あらしになる可能性があるので(つまりテープがくっついてしまうのだ)、面倒でも、テープを一度「早送り&巻き戻し」してからダビングに挑むがよいと思う。

ダビングが終わったら、必要ならタイトルを打ち込み、ファイナライズをしたらディスク作成は終了だ。

だが、50本である。「たった」と思っていたが、4,5本ダビングしたところで、オワリが遥か遠くに思えてきた。いや、働いているのはDXR160Vであって私なんか何もやってないんだけど、気持ちが変化してきたのだ。どのようにかというと、「本当に残す必要があるのか」つまり「ふたたび観る機会があるのか」と、行為そのものに対する疑問符。加えて、もともとセルソフトとして購入していたVHS(例:『1999年の夏休み』『ソフトバレエ/ライブ』など)はガードが入っていてダビングできないから結局VHS捨てられなくなっちゃったし。

というわけでモノマガ男は50本のうちダビングは15本くらいして、セルソフトは捨てず、残りは「二度と観ない」と腹をくくって捨てた。逆説的には、DXR160Vのおかげで捨てる決心がついたのだ。VHSセルソフトは多少残ってしまったが、以前持っていたVHSデッキよりよい状態で観られるだけでもありがたい。

それから本機のもうひとつの特長は、単体外付けの地デジチューナーでもある点だ。

大きくて、消費電力も少なく、場所も取らないといいことだらけで普及した薄型テレビだが、それでもまだ、映像マニアの中には「ソニーのプロフィールプロを使い続けたい」なんて人がいるだろう。ブラウン管テレビがその寸法の分だけ映像に奥行きがあるように感じられるのは完全に勘違いだとしても。

VHSははるか遠い思い出に、DVDでさえBDに急速に取って代わられようとしている現在であるが、高価だったVHSソフトを無理して購入したこととか、ライブビデオを友人と観てバンド練習に挑んだこととか、ソフトには甘酸っぱい思い出も記録されている。

DXR160Vを所有する意味は「ダビングマシンを手に入れる」というより、貴重な思い出を好きな時によい状態で観られる機械を担保しておくことにある。DXアンテナさん、続いてのラインナップはS-VHS/BD対応のダビングマシンですか!? まさか(笑)

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とりあえず押入れから出したVHS群

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信頼の日本製DVD-RはJVC

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手前がVHSで奥がDVD

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DXR160V以外の機器でも観られるようにするための最終工程がファイナライズ。