[#137] OUT TAKESで聴こえたこと

文/本田賢一朗(モノ・マガジン編集部)

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5-16号のヘッドフォン企画でオノ セイゲンさん、松武秀樹さん、日本フィルハーモニー交響楽団の扇谷泰朋さんにお話を伺うことができた。狂人的!? な集中力で音楽制作に取り組まれている方たちは、制作においてはまさに職人道具であるが、聴くことにおいてはヘッドフォンにまったくといっていいほど頓着していないのが面白かった。

「いちばん大事なのは鳴っている音楽」。ともすれば、ヘッドフォンのスペックばかりに耳を傾けているのではないか、とクギをさすオノ セイゲンさんの言葉がうれしかった。誰と、どういう場所でどんな風に聴くかのほうが大事だとも。

アナログの楽器、機材で音を作り、最新のオーディオで聴くことがこれからの価値だとおっしゃっていた松武秀樹さん。インタビュー中BGM代わりにしていた40年超の愛器『MOOG 3C』の電子音とともに響く。

観客の咳や椅子のきしみなど雑音も録音されている昔のレコードを聴いていると楽しいという扇谷さん。デジタル処理された音源がきれいに聴こえるヘッドフォンばかりでなく、コンサートを観に来いという意思の高まりをも感じた。

もはやオーディオにおいて巨大ビジネスチャンスにもなっているヘッドフォン。氾濫するほどのそれらにとまどっていたら、聴きたいものも聴き逃しちまう。

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