[#110] 製造業が本気の喧嘩コマ勝負!第二回 全日本製造業コマ大戦 関東地区予選開催

文/徳本真弓(モノ・マガジン編集部)

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全日本製造業コマ大戦


今、日本の製造業を支える中小企業がひとつの戦いに闘志を燃やしている。その渦を作っているのが「全日本製造業コマ大戦」だ。製造業各社が独自の技術力と発想力を掛けて「コマ」を製作し、ぶつかりあう。

そんな喧嘩コマが、日本のモノづくりを内側から熱くしている。

9月30日、台風が吹き荒れるなか、「第二回 製造業コマ大戦 関東地区予選」が東京・八王子の東京工科大学にて行われた。

第一回大会の参加は全21チーム。「テクニカルショウ ヨコハマ2012」のブースイベントとして今年2月に開催された。(第一回大会について詳しくは『モノ・マガジン2012年6月16日号』に掲載しているので、ご一読願いたい)その熱戦に触発され、我こそはと全国から次々に参加の名乗りが上がった。その数なんと200チーム以上!

現在、「第二回 製造業コマ大戦 横浜場所(全国大会本戦)」に向け、地方予選が全国を7ブロック(北海道・東北地区、関東地区、九州沖縄、信越北陸、東海、中国四国、近畿)に分け進行中である。

なかでも、関東地区大会は、64チームが出場した大激戦区だ。リーグ総当たり戦で勝ち抜いた16チームが決勝リーグへと(まさしく!)コマを進め、そこから先は一対一の壇上勝負。優勝、準優勝の2チームのみが全国大会への出場権が得られるというとんでもない狭き門のため、勝敗の行方を見届けようと、会場は興奮の渦に包まれた。

大会の規定は実にシンプル。
・コマのサイズは静止状態で直径20mm以下。
・コマの材質、重量に制限はなし。
・対戦時コマは指でまわすこと。
・土俵(規定のもの)の外に出るか、先に止まってしまったら負け。
・参加は1グループ(法人またはグループ)一個まで。
・勝者は敗者のコマをもらえる。

シンプルな規定ながら、このコマ大戦、事前に勝敗の予想が付かないところが面白い。というのも、手回しによる勝負なので、コマのポテンシャルだけでなく、投げ手のメンタル面を含めたコンディションや、投げ方によって勝敗の行方が大きく左右されるのだ。決勝トーナメントでは力余って、土俵からコマが落ちてしまう場面もちらほら……。

関東地区64チームの頂点、優勝を勝ち取ったのは、東京都大田区の「安久工機」。素材は比較的軽量な真鍮とステンレスを用いて作られているのだが、内部にはなんと、振動式のモーターが仕込まれている。このモーターによりジャイロ効果が得られ、コマが転倒しにくいのだ。準優勝の神奈川県「Team An」との決勝戦では、コマ同士が接触した瞬間に、相手の回転力を奪い、それを動力源として回転スピードが増す、という場面も見られた。なんとも不思議なコマの動きに筆者は驚いたのだが、内部構造を知ると納得である。ギミックが凝らされた安久工機のコマだが、電池が1分間しか持たないという弱点がある……、全国大会でも勝負は早く決めたいところだろう。

個性豊かなコマがぶつかり合うコマ大戦。大会での勝負の行方も気になるが、通常は接点のないモノづくりのプロたちがこのように、一堂に会することは大変有意義だ。新たな化学反応がおこらないはずがない。この大会の趣旨はむしろそこにある。

大会委員長の緑川賢司さん曰く、「コマ大戦は、おかげさまで、大勢の方々の賛同や協力を得て、ますます大きな大会へと進化しています。中小企業、町工場が本気でモノを作りあって、発信できる場所になりつつある。勝ち負け以上の新しい発想や価値がここで生まれているんです。大会を通じて横の繋がりがますます深まっていますし、お互いが刺激しあえる。これが積み重なれば、日本の製造業全体を盛り上げることにも発展するはずです。それがこの大会を開催する意義だと思っています」

まだまだ日本のモノづくりは可能性で満ちあふれている。

決勝戦
舞台上の大スクリーンに映し出された決勝戦の様子。奥が優勝の「安久工機」、手前が準優勝の「Team An」のコマ。

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「安久工機」の優勝コマ。振動式のモーターが内蔵されている。

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安久工機のコマ製作を担当した技師 福富善大さん。2㎝の小さなコマに込めた思いは強い。

東北北海道、関東予選は終了したが、別地区の予選はこれから。現在、参加チームを受付中だ。詳しくはコマ大戦公式サイトまで。
http://www.komataisen.com/