[#78]ウソに替えてくれる?鷽の話

文・徳本真弓/モノ・マガジン編集部

moweb

main

毎年1月24日と25日の二日間、東京・亀戸にある亀戸天満宮では「鷽替(うそかえ)」という神事が行われる。

この鷽替は一八二〇年(文政三年)以来、脈々と執り行われており、神職の手によって一体一体作られた木彫りの鷽(うそ)を一年に一度新しいモノと交換するという、縁起物の熊手交換に似たような神事だ。

ちなみに、鷽は山間部に生息する小型の鳥だが、この木彫りの鷽は、悪い出来事を鷽(嘘!)にして、良い出来事に鳥(取り!)替えてくれるという御利益があるらしい。

きっと、江戸時代に神職が思いついた駄洒落なんだろうけれど、約200年経った今でも、神職駄洒落にみんなが熱心に乗っかっているというわけだ。

一年でこの木彫りの鷽を手に入れることができるのは、この二日間だけなので、境内をぐるりと囲む程の行列ができる。かくいう私もそのなかの一人。行列に並び、新しい鷽を手にするときの喜びったらない。

嘘に替えてくれるというちょっと嬉しいような御利益はとりあえず置いておいて、なんというか、この鷽はとにかく魅力的なのだ。

黒く塗りつぶされた目など、一見ヘタウマを感じる佇まいだが、無駄がそぎ落とされた形はずっと見ていても飽きることがない。このゆるキャラっぽい風体が、江戸時代からみんなの心をそそるんだと思う。

今年も、もし悲しい出来事があったなら、嘘に替えて下さい。
お鷽さまっ。

img001img002右から八号、五号、四号、二号。サイズは懐中用から十号(約20センチ)まで11種類ある。価格は500円~7000円。

img003この解説書にくるまれて、鷽が授与される。