[#52]紙からひろがるデザイン

文・徳本真弓/モノ・マガジン編集部

moweb

main

今年6月4日、西荻駅から徒歩約5分の古ビルの一室に「西荻紙店」というお店がオープンしました。

少し暗い階段をトコトコ上がると、2階の突き当たりに明るい店舗が。

「西荻紙店」はシハイニンであるデザイナー三星安澄さんの事務所としても機能しつつ、
店名の通り、紙製品を中心とした製品販売、ギャラリー展示を行っています。

三星さんはこれまで、紙製品の新たな可能性を探究する「かみの工作所」でディレクター業をされたりと紙製品と密に関わってきました。

主なプロダクトは、紙で作った眼鏡「かみめがね」や紙を自由に折り曲げて作る「オリボン」などなど。

ということで、お店番中のシハイニンに、特別インタビューを決行!

―まずは、オープンに至るまで、どのような経緯があったのでしょうか?―

(三星安澄さん、以下三星)「以前は事務所を別の場所で開いていたのですが、その事務所の取り壊しが決定したこともあり、デザインプロデューサーの萩原修さんと共同で、新たな事務所を開設する運びとなったんです、そこで、せっかくならば人に足を運んでもらえる店舗にしようと、落ち着きました」

―紙製品を中心としたお店って、とても珍しいですよね―

(三星)「さまざまなデザイナーやお客さんと一緒に、実験的な試みをしながら、紙を使って、紙の可能性を探っていく、紙を縁に様々な人が行き交って繋がることのできる場所を目指しているんです。でも実は僕、それほど紙について詳しくはないんですよ」

―これだけ沢山の紙プロダクトにたずさわっているのに?―
(三星)「とことんマニアックに紙が好きだというデザイナーも多いんですけど、僕の場合、客観的に素材として見ながら、出会った紙の良さを活かそうと努力しています。機能に関しては納得のいくまでとことん練りますけどね」

―紙単体で完結させるのではなく、その先を重要視されているからこそ、斬新なアイデアが生まれるのかもしれませんね。こう、ずらりと紙製品が並んでいると、それぞれのデザイナーたちの試行錯誤の結論が見えてくるようです。ところで、最近ではデザイナーが直接店舗を開かれる形態が増えていますよね―

(三星)「そうですね、そのさきがけとしては小泉誠さんの“こいずみ道具店”だと思うのですが、これから先、デザイナーによる店舗はさらに増えてくると思います。通常、事務所に来てくれる人は、仕事関連の人ばかりですよね。ですが、こうして店舗という形態をとると、ふらっと人が気軽に遊びに来てくれますし、購入してくださる方との対面になります。そのことによって、できあがるモノへの責任感というか、モノづくりに対する姿勢にも変化がありました。なにより、お客さんとやりとりすることがモノづくりの刺激にも繋がります。直接、作り手がモノを販売する形態は、本来のモノづくりのあり方に回帰しているのかもしれません」

作り手のモノづくりに対する思いをダイレクトに伝えることができる店舗は、誠実なもの作りをしているデザイナーたちにとって理想の形でもあるのでしょう。デザイナーが直接運営する店舗形態は今後のプロダクト販売のありかたを示唆しているような気がします。

img001店舗デザインは、フルスイングによる設計。白を基調とした店内には紙を用いたデザインを中心に、ギャラリーも併設。7月31日までは「紙と手」展を開催。“小さな紙に、気持ちをこめて大切な人におくる手紙”にまつわるプロダクトや作品を展示中。

「西荻紙店」
住所:東京都杉並区西荻北3-31-13 勝三ビル201
営業時間:12時~19時/休:火曜日
電話:03-6913-5960

img002「かみめがね」
フロントに開けられた小さな穴が目の焦点を合わせやすくする。(遠近両用)価格945円(3色1セット)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA「オリボン」
折りスジに沿って折ったり貼ったりすることで、一枚の紙から立体的なリボンができあがるステッカー。原色(6枚入り)、紅白(6枚入り)、箔押し(3枚入り)の3種。各価格777円

img004「ORIGINAL letter set 西荻紙店オリジナルレターセット」
手紙にまつわるアイコンが印刷された封筒と、紙とデザインがすべてことなる便箋が一枚ずつ入っている。便箋9枚入り・封筒3枚入り 価格840円

img005オリジナルボーダーてぬぐい「しましましま」

店舗の住所を漢字表記にすると三-三一-一三になることから店舗のロゴなどもボーダーデザイン。価格1890円